政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

仕事関係。間違ってはいない。


「仕事? 明花さん、タカの会社で働いてるの? それとも取引先?」
「ええと……」


悪気はないと思うが、さらに突っ込まれ目が泳ぐ。どう答えたものか。


「しつこいぞ、ミヤ」
「ミヤは執念深いからなぁ。でも、あんまり詮索するなよ、明花さんだって困ってるじゃないか」


貴俊の制止に高柳も同調するが、美也子はそれでも納得しない。


「おめでたい話なんだもの、聞きたいの。人の幸せな話を聞いて私もハッピーになりたいのよ」
「人任せにしていたら、いつまで経っても幸せになんかなれないぞ」
「もうっ、なによそれ。だからソウに冷酷なんて噂を流されちゃうんじゃないの。そのビジュアルを生かしてメディアに出れば、そんなの吹き飛ぶのに」


どうやら佳乃が耳にした冷酷というのは、三橋が出所みたいだ。顔出しをしないため、容姿がひどいから世間に出てこられないのだろうと、噂に尾ひれがついたのかもしれない。
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