政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「アイツらはべつのグループに混じってワイワイ楽しくやってるから平気だ。それより嫌な思いをさせて悪かった」
「あ、いえ、貴俊さんが謝る必要はありませんから」


エレベーターの扉が開き、中に乗り込む。


「明花、本心を聞かせてほしい」
「本心ですか?」


いったいなにかと彼を見上げた。


「このまま俺と結婚していいのかどうか」
「えっ、もちろんです」
「もしも雪平ハウジングが経営難に陥らず、資金援助が必要じゃなかったら?」


質問の意図がわからず困惑する。


「立場の強い俺の言いなりになっているだけじゃないのか? 本音では、こんな結婚なんてまっぴらだと」
「いえっ、そんなふうには考えていません」


首を横に激しく振った。


「本当に?」
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