政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「せっかくゆっくりしてるのにお邪魔したら悪いと思って」


普段忙しくしている彼の貴重な時間を奪いたくない。


「キミは俺の奥さんだろ。邪魔するもなにもない。それに」


そう言って貴俊が明花を引き寄せる。


「明花の顔を見られてうれしいよ」


頭頂部にキスが落とされた。

単に明花を妻として扱っているだけ。政略結婚でも彼なりに幸せになろうと努力しているだけ。うれしいのが本心かはさておき、場所はどこであれ彼にキスをされると明花の心臓は急加速で高鳴っていく。


「あ、の……コーヒーでも淹れますね」


その高鳴りがあまりに激しくて我慢がならず、彼から咄嗟に一歩離れてコーヒーに逃げる。
ところが貴俊に制され、明花はソファに座らされた。
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