政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「もうとっくに好きです。……私、貴俊さんが好きです」
彼への想いが恥ずかしさを超える。
「貴俊さんと結婚できてよかった。私、今ものすごく幸せです」
政略結婚に期待はしていなかった。父と義母のように冷えきった夫婦を見てきたから。
明花は単なる駒であり、愛される対象でなければ資格もないと思っていた。
こんな幸せな日が訪れるなんて誰が想像できただろう。
「明花、俺もだ」
明花の髪を撫でる彼の手つきから、愛しさが溢れるのが伝わってくる。髪の毛に神経はないはずなのに。
「貴俊さんに幸せを感じてもらえてうれしいです」
「それは俺のセリフだ。明花の幸せを願っていたから」
「……幸せを願って?」