政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

言うなり貴俊はボタンを外しもせずにパジャマの上着を脱いだ。

放り投げられたそれが、ベッド脇にはらりと落ちる。明花の前に均整のとれた体が晒された。
隆起した胸板、ほどよく割れた腹筋、逞しい上腕二頭筋が、明花の目を釘づけにする。


「これでいいだろう?」


全然よくない。鍛え上げられた肉体美を前にしたら、余計に怖気づいた。


「私の()が悪すぎます」
「明花が意見するなんて珍しい」
「自己主張しなさ過ぎると言ったのは貴俊さんですから」


つい彼の言葉を引き合いに出すと、貴俊はくくっと喉の奥を鳴らした。


「そうだったな。明花はもっとわがままになっていい。でも今、その意見は聞けないな。俺は明花を抱きたくて堪らないから」


貴俊のような一流の男にそんなふうに乞われて、屈しない女性はいないだろう。恥ずかしさが一気に薄らいでいく。
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