政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
貴俊は明花の手を胸の前からそっと外し、もう一度明花を組み敷いた。劣情に色塗られた瞳が明花を射抜く。
「まだ誰のものにもなっていない明花の全部が欲しい」
今にも唇が触れそうな距離で囁いた声の甘さに胸が疼く。その疼きがさざ波のように全身に広がり、体が沸騰するように熱い。
「私を全部もらってください。貴俊さんのものにして」
言うなり、奪うような口づけが降ってきた。
無我夢中で応える吐息が唇の隙間から零れていく。それを追いかけるようにして貴俊のキスは首筋を伝って胸元へ下りていった。
甘美な刺激は明花を乱し、初めてとは思えない快楽を植えつけていく。敏感な場所に触れられるたびに明花は体を反らせ、出したことのない甘ったるい声が漏れる。
貴俊と結婚しなければ、こんなことは経験せずに一生を終えていただろう。
体を貫かれた痛みは彼のキスで癒され、さらに未知の世界へと連れ去られていく。