政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「愛してる」


言い合うたびに幸せが大きく膨らんでいく。

明確な愛の言葉は、遥か昔の記憶の中にある。それも曖昧で、もしかしたら覚え違いなのかもしれない。

母に抱きしめられ『世界で一番愛してるからね、明花』と言われた声が不意に蘇る。

二度とかけられないはずの言葉を好きな人から聞ける嬉しさと、好きな人と本当の意味で結ばれる喜びに胸が震えた。

貴俊の腕で果てた明花は、間違いなく世界で一番幸せだった。

< 172 / 281 >

この作品をシェア

pagetop