政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「俺はまだ明花のすべてを知らないようだ」
「……こんな私は嫌い、ですか?」
後ろから抱き込まれるようにして揺らされながら肩越しに振り返ると、待ち構えていた彼の唇と触れ合った。
「いや、最高」
降りしきるシャワーの雨の中、淫らな吐息と水音を立てて激しく交わり合う。
貴俊と初めて結ばれた夜に、これ以上はないと思ったはずの幸せは日々更新され、どんどん積み重なっていく。
雪平家で過ごしてきた不遇の時代は決して消えはしないけれど、あのときがあったからこそ今の幸せがあるのだと思えるようになった。
「貴俊さん、好き……愛してます」
「俺も愛してるよ、明花。……世界でただひとり」
抱きしめられながら耳元で囁かれ、快楽の渦はひと際大きくなる。
何度も「愛してる」と言い合いながら、ふたりはともにその果てに向かった。