政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
(ちょっと緊張はするけど……)
妻として、一度きちんと挨拶はしたほうがいいだろう。
「わかりました。では三橋さん、私はこれで失礼します。お大事にしてください」
「ああ。悪かったな。ありがとう」
軽く手を上げた三橋に見送られ、明花たちはコーヒーショップを出た。
「忙しいのにごめんなさい」
「いや、それよりなんでソウが」
貴俊が険しい顔をしてボソッと呟いたため、明花はついクスッと笑った。
「でも貴俊さん、三橋さんのこと嫌いじゃないですよね」
明花の目には、どちらかといえば好きの部類に映っている。
「べつに好きでも嫌いでもない。興味自体まったくない」