政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「停止板があったはずですが……」
「いや、ありませんでした」
貴俊に〝ね?〟と同意を求められ、明花も「はい」と頷く。
「申し訳ありませんでした。置き間違えたようです」
作業員はあたふたと慌てるが、貴俊と明花は満面の笑みだ。
「間違えてくれてありがとう」
「心から感謝いたします」
「……は?」
目を点にする作業員に一礼し、貴俊と明花はエレベーターから降り立った。