政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
(サイズがわからないからといって四つも作るなんて……)
理解できず、明花は目を真ん丸にして貴俊を見つめた。
「聞きもしないのにサイズがぴったりだと明花を驚かせられるだろう? カッコつけたかっただけだ」
明花から目を逸らし、わずかに眉根を寄せる。
いたずらを咎められた子どものよう。
「だけど、最初に出したものが合わなかったら?」
「明花のためにサイズを変えていくつか作ったと言えば、〝私のためにそこまで〟と感激させられるだろう。一発勝負か連発勝負だ」
思いがけない告白を聞き、明花はふふっと笑ってしまった。
(私を喜ばせようとそこまでするなんて)
凛とした風情の冷静な大人の男である貴俊が、そんなふうに考えたとは。
「貴俊さん、かわいい」
「か、かわいい?」