政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

貴俊が愕然とする。そういうつもりはまったくないみたいだ。


「だって、ふふっ」
「こら、笑い過ぎだ」


コツンと頭を小突かれた。


「ごめんなさい。そこまで想ってもらえたなんてうれしいです。本当にありがとうございます」


婚約指輪を四つも買ってもらった女性は、きっとこの世に明花ひとりだけ。特別感が明花をウキウキさせる。


「お礼ついでに、こっちも」


貴俊は手にしていた包みを明花に差し出した。大きさの割に軽い。


「メリークリスマス」
「わぁ、ありがとうございます。開けてもいいですか?」


貴俊が手で〝どうぞ〟という仕草をする。
ワクワクしながらリボンを解き、袋の中に手を入れた。
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