政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「敬語をやめたいと思いますがいいですか?」
「敬語を? はい、貴俊さんがそうおっしゃるのであればもちろんです。ですが、私は使わせていただけると助かります」
出会ったばかりの人と、いきなり敬語を使わずには話せない。
「それはキミに任せる。それから〝明花〟と呼び捨てにしても?」
一瞬ドキッとした。父親以外の男性にそう呼ばれるのは初めてである。
「は、はい。明花と呼んでください」
貴俊は満足そうに頷き、早速実行に移した。
「明花」
「……はい」
なんともくすぐったい。
「結婚しよう」