政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「掃除なら得意中の得意だから大丈夫よ」
なにしろ四歳のときから仕込まれているのだから。
「ありがとうございます。って、あれ? 明花さん、その指輪どうしたんですか?」
万智は明花の薬指に輝く指輪に目ざとく気づいた。
「じつは今度結婚するの」
「ええっ!? 明花さん、彼氏はいないって言ってませんでした?」
これ以上ないほど目を丸くし、万智が声を裏返らせる。
「ちょっとよく見せてくださいっ。うわぁ、ダイヤがおっきい!」
明花の左手を取り、まじまじと指輪を見て大興奮だ。
「相手はいったい何者? っていうか、いつの間に彼氏ゲットしたんですか?」
「あ、うん……」
矢継ぎ早に質問をされ、なにから話そうかと考えていると後方のドアが開いた。