政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

そうでなければ、顔も知らない相手との結婚を即決するなんて無謀だと心配されるだろうから。


「すごいわねぇ、明花ちゃん。あの桜羽グループの次期社長の奥さんになるなんて」
「ほんと、羨ましい!」


隆子がため息交じりに言えば、万智は両手を握りしめて目をキラキラさせる。

どんな人だったのか、なんの話をしたかなど事細く質問され、明花は戸惑いつつもひとつずつ答えた。


「でもあんまりすごい人過ぎてちょっと心配かも」
「しっかり者の明花ちゃんなら大丈夫よ。きっといい奥さんになるわ。お相手だって、それを見越して結婚を持ち掛けたんだろうし」


不安そうに眉根を寄せる万智を隆子が説得にかかる。


「そっか、そうですよね。今まで彼氏がいなかったのが不思議なくらいですし。明花さん、政略結婚でも必ず幸せになってくださいね」
「ありがとう。そうなれるよう頑張ります」


今のところ自信はないけれど、貴俊に見限られないように努力だけはするつもりだ。
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