きみの雫で潤して
第40話 探し求める心
外は気持ちとは裏腹に
雲ひとつない青空だった。
上を見上げると、
ちょうど飛行機が東の方へ
飛んでいる。
排気口からでる白い煙が少しだけ見える。
飛行機雲は作られない。
天気がいい証拠だ。
帽子を手でおさえて、
湊人から自分のキャリーバックを奪い、
先々に進もうとする。
白杖がカンカンと路上の縁石にあたる。
「まだ、歩くのもおぼつないのに
強がるなっつーの。」
湊人は杏菜のキャリーバックを奪った。
自分が運ぶと言い張る。
頑固な2人だ。
見えていないのに
額同士で睨み合う。
結局、湊人の力が強く、
杏菜は諦めて、パッと離した。
キャリーバックを預けると、
ささっと前の方に歩き出す。
目的地は湊人が決めるため、
どこに行くかわからないはず。
無我夢中で歩き出す。
「おい!そっちじゃないって。」
杏菜の腕をしっかりとつかんだ。
「ん?」
「先に行きすぎる。
こっちに行くから。こっち。」
ぐいっと腕を引っ張られた。
仕方ないなぁという顔をしながら、
進む。
「ったく、猪突猛進すぎるな。
猪かよ。見えないのに…。」
2つのキャリーバックを持つと
杏菜の腕をつかめない。
少し悩んでからポンとひらめいた。
「やっぱ、このバック持ってて。
ちゃんと繋ぐから。」
湊人は、バックの取ってを杏菜に
手渡して、左手で杏菜の右手を掴んだ。
「よし、これでいい。」
こんな自然に
手を繋いだことがあったかなと思い出す。
いや、ないかもしれない。
頼んでもいない。
交際もしてないのにいいのかと
疑問を感じた。
言いたいが言葉が出ない。
「まずは、連れて行きたいところが
あって…。駅中のコインロッカーに
荷物預けるか。」
杏菜は、湊人の指示に従うことしか
できない。
自分で行動するにはまだ勇気はない。
行こうとするところに着いていくことに
した。
それにしても、この手を繋ぐという行為は
いつまでしているのだろうか。
ずっとこの調子かどうか。
まぁ、そばにいられるなら
それに越したことはない。
素知らぬ顔をしてやり過ごした。
骨骨した湊人の手を繋ぐのは
心地よかった。
◻︎◻︎◻︎
防音のためか分厚い扉を開けた。
中からドラムのたたく音が聞こえてくる。
湊人は暗い中に杏菜を誘導した。
ここは、ライブ会場。
インディーズバンドが集まるところだ。
ざわざわと会場はお客さんの声が
聞こえる。
スポットライトがステージに照らされた。
「こんにちはー!
今日は来てくれてありがとうございます。
謎の集団『ササミフライ』です!!」
ボーカルとベース、ギター、ドラムの
4人の構成でできていた。
ボーカルの男性の声は歌いすぎたのか
それともそのような特徴なのか
ひどくしゃがれていた。
「そんじゃ、いっちょ
1曲目行ってみよー!!」
風貌からは想像できない
ポップで明るい歌だった。
共感し、前向きになれそうな歌詞。
でも、今の杏菜には歌詞の内容が
頭に入ってこない。
いい歌であることは間違いない。
何のリズムにも乗れず、
ただぼーっと立っていた。
湊人はこれは違うんだろうと察して、
外に促した。
「あんま、興味なかった?
歌なら、目が見えなくても
耳で聞こえるだろ。
気分…転換にはなってないな。
別なところいくか。」
湊人は両ポケットに手をつっこんで、
歩き出す。
杏菜は白杖を小刻みに動かして、
湊人に着いて歩いた。
無表情のまま、未だ感情を出せずにいた。
雲ひとつない青空だった。
上を見上げると、
ちょうど飛行機が東の方へ
飛んでいる。
排気口からでる白い煙が少しだけ見える。
飛行機雲は作られない。
天気がいい証拠だ。
帽子を手でおさえて、
湊人から自分のキャリーバックを奪い、
先々に進もうとする。
白杖がカンカンと路上の縁石にあたる。
「まだ、歩くのもおぼつないのに
強がるなっつーの。」
湊人は杏菜のキャリーバックを奪った。
自分が運ぶと言い張る。
頑固な2人だ。
見えていないのに
額同士で睨み合う。
結局、湊人の力が強く、
杏菜は諦めて、パッと離した。
キャリーバックを預けると、
ささっと前の方に歩き出す。
目的地は湊人が決めるため、
どこに行くかわからないはず。
無我夢中で歩き出す。
「おい!そっちじゃないって。」
杏菜の腕をしっかりとつかんだ。
「ん?」
「先に行きすぎる。
こっちに行くから。こっち。」
ぐいっと腕を引っ張られた。
仕方ないなぁという顔をしながら、
進む。
「ったく、猪突猛進すぎるな。
猪かよ。見えないのに…。」
2つのキャリーバックを持つと
杏菜の腕をつかめない。
少し悩んでからポンとひらめいた。
「やっぱ、このバック持ってて。
ちゃんと繋ぐから。」
湊人は、バックの取ってを杏菜に
手渡して、左手で杏菜の右手を掴んだ。
「よし、これでいい。」
こんな自然に
手を繋いだことがあったかなと思い出す。
いや、ないかもしれない。
頼んでもいない。
交際もしてないのにいいのかと
疑問を感じた。
言いたいが言葉が出ない。
「まずは、連れて行きたいところが
あって…。駅中のコインロッカーに
荷物預けるか。」
杏菜は、湊人の指示に従うことしか
できない。
自分で行動するにはまだ勇気はない。
行こうとするところに着いていくことに
した。
それにしても、この手を繋ぐという行為は
いつまでしているのだろうか。
ずっとこの調子かどうか。
まぁ、そばにいられるなら
それに越したことはない。
素知らぬ顔をしてやり過ごした。
骨骨した湊人の手を繋ぐのは
心地よかった。
◻︎◻︎◻︎
防音のためか分厚い扉を開けた。
中からドラムのたたく音が聞こえてくる。
湊人は暗い中に杏菜を誘導した。
ここは、ライブ会場。
インディーズバンドが集まるところだ。
ざわざわと会場はお客さんの声が
聞こえる。
スポットライトがステージに照らされた。
「こんにちはー!
今日は来てくれてありがとうございます。
謎の集団『ササミフライ』です!!」
ボーカルとベース、ギター、ドラムの
4人の構成でできていた。
ボーカルの男性の声は歌いすぎたのか
それともそのような特徴なのか
ひどくしゃがれていた。
「そんじゃ、いっちょ
1曲目行ってみよー!!」
風貌からは想像できない
ポップで明るい歌だった。
共感し、前向きになれそうな歌詞。
でも、今の杏菜には歌詞の内容が
頭に入ってこない。
いい歌であることは間違いない。
何のリズムにも乗れず、
ただぼーっと立っていた。
湊人はこれは違うんだろうと察して、
外に促した。
「あんま、興味なかった?
歌なら、目が見えなくても
耳で聞こえるだろ。
気分…転換にはなってないな。
別なところいくか。」
湊人は両ポケットに手をつっこんで、
歩き出す。
杏菜は白杖を小刻みに動かして、
湊人に着いて歩いた。
無表情のまま、未だ感情を出せずにいた。