俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
一章
『……ちゃ…ん……』
どこかで私の呼ぶ声が聞こえる。
『ぜ……い…………く……る……ら…、!』
なんだろう、モヤがかかってよく見えないけど、桜の木が見えるのは分かる。
たまに見るんだ、こういう変な夢。
小さい時に交通事故にあってから、幼い時の記憶がごそっと抜けてるみたいなんだよね。
今まで生きてきて困った事はないけど…
大事なこと忘れてるような、
『 』
「……っ、は…!」
目を見開きベッドから飛び起きる。
大事な部分が毎回聞き取れない。
これはいつもの事だった。
「柚月〜?早く支度しないと遅刻するわよー」
「あっ!!ごめん、今準備するから!!」
ボーッとしてたらリビングからお母さんの声が聞こえた。
そうだった!学校に行かないと遅刻しちゃう。