俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「草野百合はいる?」



三組の扉をバッと開け放ち、響子ちゃんは凛とした佇まいで言い放った。

私はと言うと、あまりの気まずさに響子ちゃんの後ろからチラチラと中の様子を伺うことしか出来ない。



「……は?多々良響子じゃん。あたしになんの用?」



ざわざわとしたクラスの中で、草野さんがキッと睨むように響子ちゃんを見据えた。



「昼休み話があるから一緒に来てくれる?言っておくけど、拒否権とかないから」


「いきなり話しかけといてなんなのアンター……あ、後ろにいる奴の保護者のつもり?ウケる」





私に目をやって草野さんは嘲笑すると、突然パンッと乾いた音が聞こえた。

なんと、響子ちゃんは草野さんに向かって勢いよく平手打ちをお見舞いしたのだ。



「きゃっ!!な、なにすんのよこのアマ!!」


「ふざけないで!アンタがした事で柚がどれだけ酷い目にあったか…っ!!」


「ちょ、響子ちゃん!落ち着いて!!」




ま、周りの人すっごい見てるから一旦落ち着いて!



私が必死で響子ちゃんを止めようとするも、二人して三組の扉の前で大喧嘩している。

廊下を歩く人達もなんだなんだと見ているから、悪目立ちにも程があるよ……

< 102 / 114 >

この作品をシェア

pagetop