俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「ご、ごめんね……」


「最近元気ないし、俺のせいでイジメられてたんだろ?」


「えっ!?そ、そこまで知ってるの?」



元宮君はコクリと頷き「……望月から聞いた」とぶっきらぼうに応えた。


(もっちーもわざわざ本人に言うことないのに…)


私の為と思って言ってくれたんだろうけど、元宮君がそれを聞いたら余計心配するに決まってるよ。



「……知ってるなら話が早いわ。私達がアンタのクラスに行ってたのは、柚をイジメた犯人が居るかもしれないからなの」


「……なんだって?」


「可能性の話ね……?ま、まだ確定してないからさ」



そう注釈をつけても、元宮君の顔は強ばったままだった。

でも元宮君の立場を考えたらそうなる気持ちも分かる。

自分が原因で虐められてる人間が居たら私だって犯人を早く見つけたいと思ってしまうから。


「それで昼休みそいつと話すことになってるの」


「そいつって、草野の事だろ?俺も行く」


「良いよ元宮君は来なくて……ていうか、響子ちゃんも来なくて大丈夫だよ。私が一人で行くからさ」


「柚はなんでそう一人で抱え込もうとするの?」


「いや、抱え込むって言うか、私がそうしたいって言うか……」


そんな大人数で行っても事態が余計ややこしくなるだけに決まってる。

それに、私は別に犯人をどうこうしたい訳じゃない。
謝って、二度としないと誓ってくれればそれで満足なんだ。


納得が行かなさそうな二人を前にどうやって説得しようか悩んでいると、HRの予鈴が鳴り響いた。



「あ、もうこんな時間だ!響子ちゃん早くクラスに行こう!」


「え?あぁ、うん……」


「柚月!」


「元宮君、解決したら必ず教えるから!絶ッ対に元宮君は口を出さないでね、約束だからね!!首突っ込んだら今度こそ話せなくなっちゃうかもしれないからね!!」



念には念をとかなり強く念押しすると、元宮君はもどかしそうに口元をキュッと結んだ。




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