俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい


そして現在。


なぜかこの俺様系イケメンの転校生と一緒に帰る流れになってしまっている。



正直言って全然意味が分からない。

私の何かが気に入らなかったとしても流石にしつこすぎなんじゃないか?



「……あの……、私、なんか変なこと言いましたか……」


「…………」


「何か傷付けることを言ったんなら謝ります、ごめんなさい……だから、その……」


「…………俺の女にならないと許さない」




またそれかよ!

この人一体どこからどこまで本気で言ってるのかさっぱり分からない。

どう考えたって私みたいなやつとこんなイケメンが本気で付き合おうと思ってるわけないのに、この人がみょうに演技派なせいでガチっぽく見えちゃうよ!



「えっと、俺の女って……ぱ、パシリとかそう言うのですか……?」


「お前……そんな訳ないだろ、彼女になれっつってんの」




まだパシリになれの方が納得がいく。

彼女……彼女ってことは付き合うって事だろうか。

このイケメンと……??




「いや!初対面じゃないですか!もっと可愛い子居ますよ!!」


「なに、お前俺と付き合いたくないのかよ?」


「え、か、顔はゴリゴリにタイプなんですけど、その……性格とかなにも分かってないので……」



あまりにも相手が本気っぽいから私もつい本気で返してしまう。

すると、さっきまでムスッとしてたイケメンの顔がボっと真っ赤になっていた。



「ど、どうしました……?」


「顔、タイプなのか」


「え、あっはい!!すいません舐めたこと言って!!!」



機嫌を損ねたと思って全力で謝っていると、「ん…」と一言小さく呟き下を向いてしまった。


え、まさかと思うけど照れてる?

こんな地味なやつに顔がタイプって言われて照れるイケメンがどこにいるんだろうって話だけど、顔を真っ赤にさせて視線を逸らしている所を見ると多分照れてる。




「あの……お名前伺っても……?」


「……元宮奏斗《もとみやかなと》」


「も、元宮君……帰り道は、元宮君もこっち…?」


「奏斗で良い。……お前と同じ方角」



なんで私の家の方角知ってるんだろう…


この人今日転校してきたばかりなのに色々と変わってるというか、おかしいと思う。

なんか対応を間違えたらバッドエンドになりそうな、そんな謎の危うさが彼にはある。



でも、なんだろう。なんか懐かしさを感じるような気もする。


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