俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
ももももももも、元宮君!?!?
なんでここに……と思わなくもないけど、それよりクラスの空気がシーンと静まり返ってとんでもない事になってる。
だって、凄い顔の良いイケメンが、地味な私を後ろから抱きしめてる構図だよ?
注目を集めない訳がないよ…
響子ちゃんと望月君もいきなりのことで固まってる。
「柚月は俺のモノだ。手出すな」
そんな周りの目なんて一切気にしてないのだろう。
元宮君は不機嫌そうに望月君を睨みつけ、私を抱き締める腕に力を込めた。
響子ちゃんはそんな意味不明な状況に口をあんぐり開けて硬直してしまってる。
「…………誰、お前……?」
「なんでお前に名乗らなきゃいけないんだよ?」
「も、もっちー……彼は、も、元宮奏斗君と言って、隣のクラスの……」
そう望月君に説明しようとしてると、元宮君は眉間にシワを寄せ私を見つめた。
な、なんで睨まれてるんだろう……
「……"もっちー"ってコイツのこと?随分親しげじゃん」
「あ、は、はい……へへへ……」
「…………アンタが誰か知らないけど、消えてくれない?柚も困ってるじゃん」
きょ、響子ちゃん……!
一連の流れを見ててようやく状況を理解し始めたのか、響子ちゃんが冷めた目で元宮君を見る。
響子ちゃんのキツい言い方に元宮君は更に機嫌が悪くなる……訳ではなく、意外にも全く気にしてない様子だった。
お、女の子には優しいのかな……
「お前は……柚月の友達?名前は?」
「それこそなんでアンタに教えなきゃいけないわけ?」
「柚月のことはなんでも知っておきたいから」
あまりにもまっすぐ過ぎる返事に響子ちゃんも戸惑ってる。
わ、私はどうしたら良いんだろう…
とりあえず、こっそり元宮君の腕を外して自由にさせて貰う。
ちょっと抵抗してたけど、やっと周りの目に気付いたのか、チッと舌打ちをして離れてくれた。