俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
時計を見ると、もうすぐ昼休みが終わる時間だった。
サンドイッチはもうとっくのとうに食べ終わってたみたいで、何事も無かったように立ち上がると、元宮君は私に優しく笑いかけた。
「またな、柚月」
「あ、うん。元宮君、ばいばい」
手を振って見送ると、元宮君は嬉しそうに微かに頬を赤くさせた。
元宮君が去ってからしばらく沈黙が訪れる。
「正直、冗談で言ってんのかと思ったけど…アレ、ガチじゃね」
「あー……いや、どうかな~……?」
「……お前のその能天気な所さぁ…俺は嫌いじゃないよ?でも、ああいうのには気をつけた方が良いぜ」
元宮君が教室から出ていった所をジッと見つめながら、珍しく真剣な顔で言う望月君。
もっちーは、こんなんでも結構心配性だし優しいから、私のことを気にして言ってくれてるって言うのは分かってる。
でも、なんか元宮君って放っておけないというか、しょうがないなぁって思っちゃう所があるんだよ。
だからあんだけ私のこと知ってても、怖いより照れるな~っていう楽観的なことばっかり考えちゃうんだ。
「……望月、アンタ戻らなくていいの?」
「あっ!やべ、忘れてた……じゃーな、響子と夏秋!元宮になんかされそうになったら言えよ」
去り際に、望月君に肩をポンと軽く叩かれる。
優しいなぁ、もっちーは。
響子ちゃんはと言うと、綺麗な目を伏せ、唇に手を当ててなにか考え事をしているみたいだった。
「響子ちゃん?どうかしたの?」
「……元宮ってやつ、本気なのかなぁって思ってて…」
「んー……分からないけど、元宮君、そんなに悪い人じゃないようにも見えるんだよね……」
これはお世辞ではなく本当のことだ。
あんな強引で自分勝手な感じあるけど、ただ素直に言葉を伝えてるだけなのかなぁと思ったり思わなかったり。
響子ちゃんはチラリと私の方を向くと「そう」と一言呟き、目を閉じた。