俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「……柚月は?」
「アンタが嫌で先に帰ったけど?」
廊下に出ると、やっぱり元宮が扉の前で待っていた。
柚が居ないのを確認すると、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「ふぅん……生意気なことすんな、アイツ。思い出したら、俺から離れられないクセに」
「……"思い出したら"?」
思い出したらって、なにを?
そう思って問いかけても、元宮は「こっちの話 」と言って、私に説明する気は全くないみたいだった。
「…にしても、柚月とお前、なんでそんな仲良いんだよ」
「アンタに話す必要ある?」
「……いい加減、俺に対しての対応を改めて欲しいもんだけど。俺は柚月に冗談半分で絡んでる訳じゃないって言うのに」
私の言葉に少しうんざりしたように頭をかく。
元宮は柚の横にいる私が邪魔で仕方ないのだろう。
「私が邪魔だって思ってるんでしょ?アンタがなに考えてるか知らないけど、柚を傷付けたりしたら許さないから」
柚は素直だから、自分に向けられた好意を悪意なく受け取ってしまう。
だから、私がしっかりしないと、柚が傷つくことになる。
私の言葉を聞いて逆上でもするかと思ってたけど、元宮は目を丸くしたあとに口元に笑みを浮かべた。
「お前、意外と優しいんだな」
「……はぁ?」
コイツ、何言ってんの?
自分がなにを言われたか分かってそんなこと言ってんの。
「邪魔だとか思ってねえよ。お前は柚月の友達なんだろ?」
「………私にボロクソ言われてんの理解してんの?」
「全部アイツのためって思えば、ムカつきはするけど納得は出来る」
そういう言葉とは裏腹に、元宮は私にヘラりと余裕そうな表情を浮かべた。
……コイツと話してると、なんか調子が狂う。
もっと、私のこと邪険に扱うでしょ、普通。