俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「夏秋…と、元宮……?お前らなんで一緒にいんの?」


目の前の彼……望月君が目を丸くして、私と元宮君を交互に見ている。

(ま、まさか、もっちーも来てるなんて…)


望月君は元宮君のことを好ましく思ってない……というか、私のことを心配した上でそう思ってくれてる。

それなのに、そんな元宮君と私が一緒に遊んでる事を知ったら望月君はどう思うんだろう。



「ももももも、もっちー!!!奇遇だね!!!いやー、元宮君と私、どっちもボウリングに情熱を注いでて、そりゃもう意気投合しちゃって!!それで念願のボウリング対決!って感じで!!」


「へー、お前らボウリング好きだったんだー」



納得したんだか、してないんだか、望月君は私にヘラっと笑いかけてくれた。

そんな望月君と私の会話が面白くないのか、元宮君が私に近づいてきたと思ったら、グイッと力強く私の腕を引っ張る。

元宮君の方に引き寄せられ、軽く私を抱き寄せた形になると、そのまま望月君を睨みつけるように見つめた。



「俺の柚月と話してんじゃねえよ」


「なにキレてんだよ、束縛強い男はモテないぜ」



元宮君に睨まれても、全く意に介してないのか相変わらずヘラヘラとしている。

私はと言うと、元宮君の腕の中で冷や汗をダラダラとかきながらこれからどうしようかと頭の中をフル回転させてる。

だって、もっちーに元宮君と私が遊んでることがバレたら、もしかしたら響子ちゃんにもその事が伝わるかもしれない。

こっそりあの元宮君と遊んでることがバレたら、響子ちゃんは不快に思うかもしれない。響子ちゃんに縁を切られたら死ねる。


そう考えていた時、後ろから息を飲む声が聞こえた。


「あ、響子」


「……柚、なにしてんの……?」



さっきまでのやる気はどこへやら、今となってはボールの形なんてもはやどうでも良くなっていた。


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