俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「……なんで多々良が真ん中なんだよ」


「ええ?響子ちゃんが主役だからだよ」


「主役じゃないけど……」



そんな会話をしながら次々向かってくるゾンビ達をモニター越しで撃ちまくる。

元宮君は私が隣だと絶対絡んでくるから響子ちゃんを真ん中にしてみた。

それに、響子ちゃんと元宮君には仲良くなってほしいし。



「きゃっ!」


「うおっ、んだよ多々良……女みたいな声出して」


「お、驚いただけ……それに、一言余計」



いきなり出てきたゾンビに驚いた響子ちゃんが元宮君にガシッとしがみつく。

あ、私にしがみついてくれないんだ……と謎の敗北感を味わいながらも、なんやかんや楽しくやってくれてて微笑ましい。



「ボウリングは上手くてもシューティングゲームとかは下手くそなんだな」


「うっさい……ボウリング下手くそなくせに」


「これはボウリングじゃねえだろ?それに、こんなゲームごときでビビってんなら大したことねえな」


「次そのこと言ったら怒るから……!」



……あれ?なんか、思ったより仲良いな。

むしろ私がお邪魔まであるぐらい息が合ってるようにも見える。


(……それはそれでちょっと寂しい)


響子ちゃんとは私の方が先に仲良かったのに、自分勝手だけどなんだか取られた気分だ。


そんな事を考えてたら私がゾンビに食べられてしまった。
勿論ゲームオーバー。



「なにやってんだよ、柚月」


「あ!ごめんごめん、別のこと考えてたらゲームオーバーに……二人はまだやってて、私は他のとこ見てるから」


「じゃあ俺も、」


「いや!大丈夫!!一人で見るの結構好きだからさ!!遠慮しないで!!」



元宮君をなかば強制的にその場に留めさせて、その場から離れる。

自分から仲良くさせようとしておいて本当に勝手だけど、なんとなく虚しくなってしまった。
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