俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
電話を無視していたからか、学校で元宮君とすれ違う時に、なにやら非難するような視線を感じる。

あからさまに視線を逸らしてとぼけたフリをするも全く効果はなく、彼の視線をヒシヒシと感じていた。

我ながら行かないにしろ、電話ぐらい出れば良かったと思うけど、こればっかりは元宮君の寛大な心で許して欲しい……


あと、望月君は距離を置いた方が良いって言ってたけど、結局私は響子ちゃんと一緒にいた。


やっぱり、響子ちゃんと同じクラスなのに離れて行動するのはちょっと考えられなかった。


……とは言え、状況は全く変わってなく、相変わらずよそよそしい感じが続いている。

そして、気のせいかもしれないけど私が話題として元宮君の話をすると、どことなく怒った雰囲気になるような気がする。

望月君とか、隣のクラスのマドンナの佐倉さんとか三年のイケメンの久藤先輩の話とか、色んな話をしてるけど、どうも元宮君だけ雰囲気が違うような感じがするんだよね。

だから自然と響子ちゃんの前で元宮君の話はしなくなっていった。




「おい柚月」


「ぐえっ……って、も、元宮君……!!」



授業が終わり、帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていると、後ろから突然首根っこを掴まれた。

カエルのうめき声のような声を出しながら振り返ると、案の定元宮君が不機嫌そうな顔で立っていた。


「お前、なにシカトしてんだよ」


「あ〜〜〜……その節は本当にすみませんでした……あれだよね、夏祭り行こうって電話だったんだよね?」


「よく分かってんじゃん」


「そりゃ分かるよー、元宮君の話すことはすっかりマスターしたからね!」




そう得意気に言ってみると、コロッと機嫌が良くなったのか嬉しそうに頬を赤く染めている。



「じゃあ行くぞ」


「ちょちょちょ!元宮君!私だって断る時はあるんだよ!」


「なんでだよ。予定もないのに?」


「予定がないって決めつけないで!ないけど!」


「ならなんで駄目なんだよ」



ムスッとした顔をしてるけど、なんと説明して良いのやら……



「うーーん……ちょっと気分が乗らなくて……」


「はぁ?俺の言うこと聞けねえの?まさか、望月になんか言われたのか?」


「いやいや言われてないって……とにかく!また今度遊ぼう!ごめんね!」



気分が乗らない以外に答えようがないので、そう一方的に伝えると足早に元宮君から離れる。

ごめん元宮君!さらば!!


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