俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「元宮君!射的勝負だ!」
「ふん、望むところだ」
銃を構えて獲物に狙いを定める。
私が欲しいのはそう……右角にある新型ゲーム機だ!!
パンッと出た弾は確かに命中したはずなのに、ゲーム機の外装がちょっと揺れただけで全く落ちる気配は無かった。
全く落ちる気がしないよ!!どうなってるの!?
私が一人で地団駄を踏んでいる横で、元宮君はと言うと真剣な顔で狙いをすまして、パンッと引き金を引いた。
「おっ!兄ちゃん上手いね〜!ほらよ!」
「どーも」
「な、なにぃ……!?」
澄まし顔で景品の可愛いクマのぬいぐるみを受け取っている元宮君。
そして私の顔を見て、こんなの余裕だろと言わんばかりに鼻で笑ってる。
く、悔しい!!
「くぅ……!ま、負けた……」
「あんなデカいの、ハナから落とさせる気ねえよ。万に一つ落とせたとしても、これっぽちの金額じゃ足りねえし」
そう言って、元宮君は手に持っているぬいぐるみを、ほら、と私に渡してきた。
「え、いいの?」
「俺はぬいぐるみなんていらないから」
ぐぬっ、ちょっとキュンとしちゃった。
元宮君顔は本当にゴリゴリにタイプだから、イケメンっぽい行動されると私も弱いんだよね。
「あ、ありが……とう……」
控えめに受け取ってお礼を言うと、元宮君は優しく微笑んだ。
ヤバい、ちょっとずつ絆されてきてる。
イケメンで私みたいなやつに尽くしてくれるなんて、絆されない訳ないよ。