俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「元宮君!あ、藍沢さん、良かったの?」


「ほっとけよ、あんな奴」



顔を歪ませて吐き捨てるように言う彼に、内心ホッとしていた。

無いとは思ってたけど、元宮君があっちの方に行っちゃったらどうしようって思ってたから。



「藍沢って女、俺が聞いてもないのに柚月を探してるって知った瞬間、ベラベラとお前のこと話し始めたんだよ」


「ええ……じゃあ、やっぱり私の電話番号を元宮君に教えたの藍沢さんだったんだ……」


「そうだよ。だからもう関わんなくていい」



去年同じクラスで私の電話番号知ってる人と言ったら、それこそ響子ちゃんか藍沢さんぐらいだ。

今でこそ元宮君とは仲良くやれてるから良いけど、さっきの態度と言いちょっと薄情だよね。



「……って、忘れてた!もう少しで花火大会があるんだよ!!」


「はぁ?急になんだよ」


「良いから、こっちこっち!」



さっきの事ですっかり忘れてたけど、時計を見たらあと5分ぐらいで花火大会が始まるところだった。

今度は私が元宮君の腕を引っ張る形になり、去年響子ちゃんと一緒に花火を見た場所に向かう。


段々と近づいてくると、なぜか元宮君は驚いた顔をしていた。



「柚月、ここって……」


「あ、元宮君もここ知ってた?ここは穴場スポットでね、去年も響子ちゃんと一緒に来たんだー」



言ってて、あれ?とおかしなことに気づく。

元宮君は遠い所から転校して来たんだから、こんな場所知ってる訳ないじゃん。

それでも、元宮君は目をキラキラとさせながら私のことを見ていた。



「柚月、」




ドンッ!と大きな音が鳴り響く。

その瞬間、夜空には美しい花火が映し出されていた。


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