俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
今日も響子ちゃんと話すことがなく一日が終わった。
響子ちゃんは私と話さなくても何にも問題ないんだろうなぁ。
多分こんなことずっと気にしてんのも私だけだと思う。
「はぁ……」
「夏秋ーーーーー!!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!」
後ろからいきなり驚かされて、心臓が口から飛び出しそうになる。
び、びっくりした……
そんなことする人なんて一人しかいない。
「も、もっちー……」
「よっ、またしょんぼりした顔してんなぁ」
爽やかに笑う望月君に安心感を覚える。
もっちーだけはずっと変わらないなぁ。
「しょんぼりしてないよ、全然元気!」
「そうは見えないけどなー。お前さぁ、なんか悩みとかあるんじゃないの?」
その言葉に心臓が跳ね上がりそうになった。
ヘラヘラしてるけど、目は真剣に私を見据えていた。
なんだか全部見透かされてるみたいで嫌だった。
「無いって、本当に」
「……悩み事とかさ、あるならちゃんと話せよ。響子だってお前の話ならちゃんと聞くし、響子に話しづらいなら俺に相談すればいいだろ」
「どうしたのもっちー、そんな急に……」
「知ってるよ、お前がいじめみたいなの受けてんの」
頭が真っ白になった。
知られないようにとぼけてたけど、一番言われたくない言葉を言われてしまった。
情けない。
「クラスの奴が教えてくれたんだよ、"お前の知り合いがいじめられてる"って」
「……へ、へぇ……」
「なぁ、困ってるなら言えよ。俺達友達だろ」
「こ、まってない、から……あはは……」
やばい、涙が出そう。
困ってないなんて嘘だ、本当は誰かに相談したかったよ。
一番嫌な形でバレた恥ずかしさと、純粋な善意に泣きそうになる。
「ほら、泣きそうになってんじゃん。困ってないとか強がんなくて良いんだよ」
「い、やぁ……っ、えぇっ、と……っ」
「あーー!泣くな泣くな!分かったから、落ち着けって!」
ポロポロと一度出たら歯止めが効かなくなってしまった。
私が本格的に泣き出すのを見ると、慌ててハンカチを差し出してくれた。
そのハンカチの柄が可愛い猫ちゃんで思わず吹き出しそうになったけど、状況が状況なので頑張って我慢した。