俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
「お前、泣き顔子供みたいで可愛いな」
「えぇ……初めて言われたよ……」
あの後、流石に泣いたままの私を放っておけなかったのか、学校の近くにある公園のベンチで望月君に慰められている。
私の顔を見ながら優しそうに笑う望月君に、荒んだ心がどんどん浄化されていくようだ。
「で、どうしたの?具体的にどんな嫌がらせ受けてたわけ?」
「……あ、えっ、と……げ、下駄箱にゴミとか生ゴミ入れられたり、上履きがびしょびしょに濡れてたりとか……」
「はぁ……?そんな時代遅れな事してるやつがいんのかよ…」
望月君は怒りを通り越してもはや呆れた顔になっていた。
元宮君に近づくなって書かれたことは言わない方が良いのかな……
ただでさえ、望月君はそんなに元宮君の事をよく思ってなかったから。
「この事、響子は知ってんのか?」
「知らないと思う…最近私とそんなに話してないから……」
「あいつも本当にどうしようもねぇな。いつまで拗ねてんだよ」
苛立っているのか、望月君が吐き捨てるように言う。
響子ちゃん……拗ねてるだけなら良いんだけど……
もし、私のことが嫌になって避けてるのなら、そっちの方が断然悲しいから。
不安な思いが顔に出てたのか、望月君は私の顔を見るなりパッと顔を明るくした。
「まぁ良い機会って言うのもなんだけど、これを機に響子に相談してみたらどうだ?響子なら親身に聞いてくれるさ」
「うーん……響子ちゃん迷惑じゃないかな……」
「だから!響子はお前のこと大好きだって!お前が元宮とばっか仲良くしてたから拗ねてんだろー!」
ウジウジとしてる私が面倒になったのか、私の背中をバンっ!と叩いた。
い、痛い……
「お前一人で言うのが気まずいなら、俺も着いてってやるよ。それで響子にはきちんと説明するんだ。分かったか?」
「は、はい!」
「よし!響子に話したらこんなくだらねえことした馬鹿をとっちめるぞ!」
「お、おーー!」
望月君と話してるとなんだかやる気が出てきた。
一年の頃から思ってたけど、やっぱり明るくて優しいもっちーみたいな人間になりたいなぁって思うよ。