俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい

望月side



「野田ちん、明日朝練あるよな?」


「おー、あるけど、なんかあんのか?」


「いや、とある奴の下駄箱の近くを見張ってて欲しくて…」


「あー……アレだろ、春夏サン?」


「夏秋!!」



なんだよその微妙に近い間違いは。

俺が勢いよく訂正すると、野田はハイハイ…、と半分呆れたように頷いた。



「俺もサッカーの練習しながらだから、ずっとは見れねーよ?一応見といてやるけどよ」


「お〜〜!心の友よ〜!マジでサンキュー!お前ってやっぱ良い奴だよ!」


「おーおー、調子のイイヤツだな」




やっぱり野田に頼んで良かった。

俺に夏秋のことを教えてくれたのも野田だし、不器用そうに見えて意外と周りに気遣える奴なんだよな。



「颯もよー、尽くすだけだとただの良い人扱いにしかされないぜ?時には強引に押してみたりしねーと」


「俺は別に付き合いたいからやってる訳じゃねーよ。ただ友達として助けてあげたいって……」


「じゃあその夏秋サンが他の奴と付き合ってもちゃんと喜んで祝福出来るんだな?」




なんだコイツ、急に語り始めやがって。

言われた事は癪に障るけど、言われた通りに素直に夏秋が誰かと付き合う事になったことを想像してみる。


(……なんか、想像したくないな……)



嫉妬でってよりは、夏秋のイメージが壊れそうであんまり想像したくなかった。

あんな無邪気に笑うやつが、俺の知らない一面を他の奴に見せるかもしれないって事を考えると確かにモヤモヤとする。




「…………ちょっと複雑かも?」


「こりゃ多分惚れてるな。しかし、夏秋サンってそんなに可愛くなくねえか?多々良さんのが、美人だし、お前ならワンチャンありそうとか思いそうだけどな」


「おまっ……響子をそういう話に持ち出すなよ…」



夏秋の顔じゃなくて響子の顔も浮かんできて一気に萎えた。

まず響子は恋愛的にどうこうという次元じゃない。

ガキの時からずっと一緒だったから、恋愛感情なんて1ミリも無いし、もし響子にこんな事言ったら殺される。



< 73 / 114 >

この作品をシェア

pagetop