俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
頭の中がぐるぐると回ってなにも言えないでいると、彼は片手で私の顔を上にあげ視線を合わせた。
目を伏せて私を慈しむように微笑すると、ゆっくりと彼の顔が近付いてくる。
あああああ。
こんなことをされそうなのに、頭の中は響子ちゃんと元宮君でいっぱいだった。
私はまた目の前の人間に向き合えない。
他の人を言い訳にして逃げようとしてる。
こんなんじゃいつまでも響子ちゃんと仲直り出来ないのに。
それに、こんな私を好きになってくれた元宮君の顔がずっとチラついて、もう頭がおかしくなりそうなんだ。
「……ごめん、もうしないから」
ぐちゃぐちゃの脳内でなにも出来ないでいると、望月君は私の顔を見てくしゃりと顔を歪ませた。
なにか話さないとって思って、口を開けるも思ったように言葉が出てこない。
それどころか、嗚咽で喉を震わせて口も曲がってしまっている。
「ひっ、ごめ"ん……っ、ごめんなざい"っ」
「謝るなよ、俺が悪いんだから」
「ごめん"っ、ぅぅっ……!うあああっ!ぁぁああッ!!」
「おま……っ泣きすぎだろ!!」
辺りに響く私の泣く声。
もう涙腺が決壊してもはや叫び声と化したそのカオスな状況に望月君はひたすら困った顔をしていた。
涙で全く前が見えないけど、私をどうにか落ち着かせようと慌ててる姿はいつものもっちーと同じだった。