嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
16
ロレッテはオルフレット様を見送り、メイドにお父様の居場所を聞いた。書斎にいると聞き、さっそくロレッテは向かいノックして扉を開けた。
部屋の中にはお母様もいて、お2人で何か話しているようだった。
「ロレッテ、そんなに慌ててどうしたんだい?」
「お父様、お母様、私の話を聞いてくだい。もしもの話なのですが……国王陛下と皇太子様はご病気なのかもしれません!」
ロレッテの言葉に、お父様とお母様は眉をひそめた。
それもそうだろう。国を納める、お2人がご病気だなんて有り得ない。
「ロレッテ、私の所にその様な情報はきていない。滅多なことを申すでない。……だが、ロレッテは何を根拠に、そのようなことを思ったんだい?」
そうだろう、お父様は宰相をなさっているから、ロレッテよりも王城の中のことは知っているし。オルフレット様の声が聞こえたと、お父様に伝えても信じてはもらえないだろう。
「お父様、聞いてください。――オルフレット様は第二王子です。今は学生で学業に集中していらっしゃいます。なのに城で書類の整理をしていると、おっしゃっていました」
「書類? そういえば最近、皇太子の字が変わった……いや、そんなことは……」
「お父様、オルフレット様は勿体無いとおっしゃって……冷めた紅茶をお飲みになったの」
「なに、冷めた紅茶を勿体無い? そうなのか……やはり、今日のオルフレット殿下は平静を装ってはいたが、何処かお疲れでおやつれになられていた」
「え?」
(オルフレット様がおやつれに⁉︎ まったく気付かなかったわ……オルフレット様にお会いできると浮かれていたせい)
昨日のお茶の席だって……浮かれたオルフレット様の声と、メアリスさんが現れたときの声に気を取られていた。彼の体調の変化に気付けないなんて、婚約者として失格だ……。
でもあの子、メアリスさんの存在は気になる。――それは入学式の後の事。側近、メイドを連れず、オルフレット様とこれから通う校内を2人きりで回っていた。
離れた書庫へ向かう途中、女性の大きな声が聞こえる。
『あっ! いた、いた、オルフレット様!』
あたかも、昔から彼を知っているかのような口ぶりで、オルフレット様に近付いた、ピンク色の長い髪の見知らぬ女性。
『探してたんだ、やっと会えた! やっぱり悪役令嬢ロレッテといた」
――悪役令嬢ロレッテ?
――この子はいったい誰なの?
七歳の頃、オルフレット様の婚約者候補として、選ばれた令嬢の中に彼女はいなかった。オルフレット様の誕生会のパーティーでも彼女に会った覚えはない。
『あの、オルフレット様のお知り合いですか?』
『いいや、ロレッテ嬢の知り合いでもないのか?』
頷く時、オルフレット様も驚いた様子。
『まあ、細かい事は気にしないで。オルフレット様、これからよろしくね!』
許可を貰った者しか許されない、オルフレット様の名を何度も呼び。淑女としての礼儀、挨拶もなく、昔から知っていた友のように気軽に話す。
『えっと、ロレッテとは仲良くしたくないかな? オルフレット様と仲良くなっても、あたしのこといじめないでね』
『なっ!』
出会った頃から、ロレッテにだけ見せる高圧的な態度。
しばらくして、ロレッテが彼女をいじめていると言う噂が立ち、悪役令嬢と呼ばれはじめた。
みんなが、みんな。1人の男爵令嬢にここまで掻き乱されるのだろう。オルフレット様の話で、彼女は国王陛下と王太子に金銭をいただいていると言っていた。
(あの時は気付かなかったけど。その金銭、国民が納めた国税だとすれば大問題だわ)
だけど、ロレッテ1人で調べるには力が足らない。
「お父様、お母様、私に力をお貸してください」
部屋の中にはお母様もいて、お2人で何か話しているようだった。
「ロレッテ、そんなに慌ててどうしたんだい?」
「お父様、お母様、私の話を聞いてくだい。もしもの話なのですが……国王陛下と皇太子様はご病気なのかもしれません!」
ロレッテの言葉に、お父様とお母様は眉をひそめた。
それもそうだろう。国を納める、お2人がご病気だなんて有り得ない。
「ロレッテ、私の所にその様な情報はきていない。滅多なことを申すでない。……だが、ロレッテは何を根拠に、そのようなことを思ったんだい?」
そうだろう、お父様は宰相をなさっているから、ロレッテよりも王城の中のことは知っているし。オルフレット様の声が聞こえたと、お父様に伝えても信じてはもらえないだろう。
「お父様、聞いてください。――オルフレット様は第二王子です。今は学生で学業に集中していらっしゃいます。なのに城で書類の整理をしていると、おっしゃっていました」
「書類? そういえば最近、皇太子の字が変わった……いや、そんなことは……」
「お父様、オルフレット様は勿体無いとおっしゃって……冷めた紅茶をお飲みになったの」
「なに、冷めた紅茶を勿体無い? そうなのか……やはり、今日のオルフレット殿下は平静を装ってはいたが、何処かお疲れでおやつれになられていた」
「え?」
(オルフレット様がおやつれに⁉︎ まったく気付かなかったわ……オルフレット様にお会いできると浮かれていたせい)
昨日のお茶の席だって……浮かれたオルフレット様の声と、メアリスさんが現れたときの声に気を取られていた。彼の体調の変化に気付けないなんて、婚約者として失格だ……。
でもあの子、メアリスさんの存在は気になる。――それは入学式の後の事。側近、メイドを連れず、オルフレット様とこれから通う校内を2人きりで回っていた。
離れた書庫へ向かう途中、女性の大きな声が聞こえる。
『あっ! いた、いた、オルフレット様!』
あたかも、昔から彼を知っているかのような口ぶりで、オルフレット様に近付いた、ピンク色の長い髪の見知らぬ女性。
『探してたんだ、やっと会えた! やっぱり悪役令嬢ロレッテといた」
――悪役令嬢ロレッテ?
――この子はいったい誰なの?
七歳の頃、オルフレット様の婚約者候補として、選ばれた令嬢の中に彼女はいなかった。オルフレット様の誕生会のパーティーでも彼女に会った覚えはない。
『あの、オルフレット様のお知り合いですか?』
『いいや、ロレッテ嬢の知り合いでもないのか?』
頷く時、オルフレット様も驚いた様子。
『まあ、細かい事は気にしないで。オルフレット様、これからよろしくね!』
許可を貰った者しか許されない、オルフレット様の名を何度も呼び。淑女としての礼儀、挨拶もなく、昔から知っていた友のように気軽に話す。
『えっと、ロレッテとは仲良くしたくないかな? オルフレット様と仲良くなっても、あたしのこといじめないでね』
『なっ!』
出会った頃から、ロレッテにだけ見せる高圧的な態度。
しばらくして、ロレッテが彼女をいじめていると言う噂が立ち、悪役令嬢と呼ばれはじめた。
みんなが、みんな。1人の男爵令嬢にここまで掻き乱されるのだろう。オルフレット様の話で、彼女は国王陛下と王太子に金銭をいただいていると言っていた。
(あの時は気付かなかったけど。その金銭、国民が納めた国税だとすれば大問題だわ)
だけど、ロレッテ1人で調べるには力が足らない。
「お父様、お母様、私に力をお貸してください」