嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
22
「さぁロレッテ嬢、選ぼう」
ビュッフェテーブルに並ぶ料理から、ご自分のお好きな物をお皿に取るのだけど。オルフレット様はお皿を持つと、さっさとデザートコーナーに向かっていってしまった。
〈ふふん~ロレッテの好きな苺のタルト、ショートケーキ、苺ジャム付きスコーン、苺、苺~〉
(まあ、オルフレット様が凄い勢いで苺ばかり選んでらっしゃる)
〈ロレッテが好きな苺!〉
これは……一緒にいただくことを忘れてらっしゃると、ロレッテはオルフレット様の好きなサンドイッチ、野菜、2人で食べれるように選んだ。
選んだ料理を持ちより、食事ができる場所を探して、庭園の端にバラに囲まれたテーブル席を見つけた。
〈ここなら誰にも邪魔されず、ロレッテとのんびりできそうだ。護衛はいるが……それは仕方がない〉
(今度こそ、オルフレット様とのんびり、ゆったりですわ)
「ここで、食べようか」
「はい、オルフレット様」
テーブルに料理を乗せたお皿を並べると、やはりオルフレット様のお皿は苺づくし。
〈しまった……料理を選ぶ時に、ロレッテの事ばかり考えていた……〉
(フフ、大丈夫ですわ。ちゃんと、私が2人分取りましたもの)
「先に座って待っていてください、紅茶をとってきますわ」
「待て、ボクも行く」
持てなかった紅茶取りに戻り、バラに囲まれた席で二人だけの食事が始まった。
「オルフレット様、紅茶を入れますね」
「ありがとう」
〈いいな。ロレッテに紅茶を入れてもらえるなんて、書類整理中にも紅茶をいれてもらえたら――幸せだな〉
(私もできるのでしたら、そうしたいですわ)
「ロレッテ嬢が好きだと言った、ファンタジーの本をボクも読んだよ」
「ほんとうですか?」
バラのかおりが香る庭園のテーブル席でゆったり、食事と、楽しい会話を楽しんだ。
「勇者と聖女だったかな? 主人公の2人がいいな」
「そうですわよね、2人の掛け合いが好きです」
〈ロレッテが私の前で微笑んでいる。それだけでボクは幸せだと言ってみるか? いや、この雰囲気を壊さないか? 正直に、いま思った事を伝えたい〉
(オルフレット様)
カチャッとフォークとナイフを置き、息を吸うオルフレット様の緊張が私にも伝わってくる。
「ロレッテ嬢。ボクは、ロレッテ嬢とゆったり過ごせて幸せだ」
「まぁオルフレット様、嬉しい。私もご一緒に過ごせて幸せです」
思ったことを、口にするのには勇気がいる。
でも、伝えた後に心がほんわかした――本当に幸せなのだと。
〈くぅっ、ロレッテは女神だ! あー今、誰かに伝えたい、ボクは女神を手に入れた!〉
( オルフレット様、落ち着いてください……女神は言い過ぎですわ)
荒ぶってしまった、オルフレット様の声は「可愛い、可愛い、ロレッテ可愛い、女神、天使」だと、しばらく止まらなかった。
(オルフレット様ったら……照れてます)
私だって言いたい。ときおり微笑んだ顔が好きですとか、長い指が素敵だとか。もう、オルフレット様の全てが素敵だと伝えたい。
〈可愛い、かわいい、可愛い〉
(素敵、ステキ、素敵)
オルフレット様の声にあてられて、少し興奮気味の私の前に、スプーンに乗った苺が現れた。
「ロレッテ嬢、食べて」
「え? ここで、ですか?」
「うん。心配は入らないよ、ここには誰も来ないから」
「そう、でしたら……アーン」
オルフレット様に出された苺を食べた瞬間、バラの茂みがガサっと音をたてた。ーーその瞬時、オルフレット様の視線がその音に反応して、前に座る私を通り越して後ろに向いた。
「おっと、来るタイミングが悪かったかな? これは失礼」
聞き覚えのない、低い男性の声が背後から聞こえた。
ビュッフェテーブルに並ぶ料理から、ご自分のお好きな物をお皿に取るのだけど。オルフレット様はお皿を持つと、さっさとデザートコーナーに向かっていってしまった。
〈ふふん~ロレッテの好きな苺のタルト、ショートケーキ、苺ジャム付きスコーン、苺、苺~〉
(まあ、オルフレット様が凄い勢いで苺ばかり選んでらっしゃる)
〈ロレッテが好きな苺!〉
これは……一緒にいただくことを忘れてらっしゃると、ロレッテはオルフレット様の好きなサンドイッチ、野菜、2人で食べれるように選んだ。
選んだ料理を持ちより、食事ができる場所を探して、庭園の端にバラに囲まれたテーブル席を見つけた。
〈ここなら誰にも邪魔されず、ロレッテとのんびりできそうだ。護衛はいるが……それは仕方がない〉
(今度こそ、オルフレット様とのんびり、ゆったりですわ)
「ここで、食べようか」
「はい、オルフレット様」
テーブルに料理を乗せたお皿を並べると、やはりオルフレット様のお皿は苺づくし。
〈しまった……料理を選ぶ時に、ロレッテの事ばかり考えていた……〉
(フフ、大丈夫ですわ。ちゃんと、私が2人分取りましたもの)
「先に座って待っていてください、紅茶をとってきますわ」
「待て、ボクも行く」
持てなかった紅茶取りに戻り、バラに囲まれた席で二人だけの食事が始まった。
「オルフレット様、紅茶を入れますね」
「ありがとう」
〈いいな。ロレッテに紅茶を入れてもらえるなんて、書類整理中にも紅茶をいれてもらえたら――幸せだな〉
(私もできるのでしたら、そうしたいですわ)
「ロレッテ嬢が好きだと言った、ファンタジーの本をボクも読んだよ」
「ほんとうですか?」
バラのかおりが香る庭園のテーブル席でゆったり、食事と、楽しい会話を楽しんだ。
「勇者と聖女だったかな? 主人公の2人がいいな」
「そうですわよね、2人の掛け合いが好きです」
〈ロレッテが私の前で微笑んでいる。それだけでボクは幸せだと言ってみるか? いや、この雰囲気を壊さないか? 正直に、いま思った事を伝えたい〉
(オルフレット様)
カチャッとフォークとナイフを置き、息を吸うオルフレット様の緊張が私にも伝わってくる。
「ロレッテ嬢。ボクは、ロレッテ嬢とゆったり過ごせて幸せだ」
「まぁオルフレット様、嬉しい。私もご一緒に過ごせて幸せです」
思ったことを、口にするのには勇気がいる。
でも、伝えた後に心がほんわかした――本当に幸せなのだと。
〈くぅっ、ロレッテは女神だ! あー今、誰かに伝えたい、ボクは女神を手に入れた!〉
( オルフレット様、落ち着いてください……女神は言い過ぎですわ)
荒ぶってしまった、オルフレット様の声は「可愛い、可愛い、ロレッテ可愛い、女神、天使」だと、しばらく止まらなかった。
(オルフレット様ったら……照れてます)
私だって言いたい。ときおり微笑んだ顔が好きですとか、長い指が素敵だとか。もう、オルフレット様の全てが素敵だと伝えたい。
〈可愛い、かわいい、可愛い〉
(素敵、ステキ、素敵)
オルフレット様の声にあてられて、少し興奮気味の私の前に、スプーンに乗った苺が現れた。
「ロレッテ嬢、食べて」
「え? ここで、ですか?」
「うん。心配は入らないよ、ここには誰も来ないから」
「そう、でしたら……アーン」
オルフレット様に出された苺を食べた瞬間、バラの茂みがガサっと音をたてた。ーーその瞬時、オルフレット様の視線がその音に反応して、前に座る私を通り越して後ろに向いた。
「おっと、来るタイミングが悪かったかな? これは失礼」
聞き覚えのない、低い男性の声が背後から聞こえた。