嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
34
隣の執務室からロレッテをを呼ぶ、オルフレット様の声が聞こえた。どうやらメアリスさんは執務室から帰ったらしい。枕を抱きしめロレッテは思う、メアリスさんが持って来た手紙――あれは誰が書いたのかと。
(それにセルバン殿下って強引で……怖い)
「ロレッテ嬢、出て来ないの?」
(ほんとうは、すぐにでもオルフレット様のそばに行きたいけど……彼は枕の事を絶対に聞いてくると思うわ)
その理由が恥ずかしくて、ロレッテは枕を抱えたまま扉の前をウロウロした。そんなロレッテに、リラはいれたてのお茶をトレーに乗せ手持ち。
「さぁお嬢様、オルフレット殿下が呼んでいらっしゃいます」
と言う。ロレッテが恥ずかしがっていることを、リラにも分かっているのね。リラに「行きましょう」と優しく、見つめられた。
「ええ、行きましょう」
顔に熱が集まるのがわかったけど、扉を開けてリラと、オルフレット様の執務室へと戻った。
❀
――まさか、こんな事になるなんて!
ロレッテは執務中のオルフレット様の膝の上に、枕を抱えたまま座っている。隣のキッチンから戻ったリラは、ソファのテーブルにサッとお茶の準備を終わらせると、カウサ様の手伝いをすると言って執務室から出ていった。
枕を手に何も出来なかったロレッテに、お茶が温かいうちに飲もうと誘われソファに移り、オルフレット様とお茶を楽しんだ――そのあと、枕の理由などと聞かれたオルフレット様に理由が言えなかったロレッテは、オルフレット様の膝の上に座ることになった。
「あ、あの……オルフレット様もうよろしいのでは? カウサ様とリラが戻ってきますわ」
「ダメ、どうして僕の枕を持っていたのか、ロレッテが話すまで下ろさない!」
「そんなぁ……」
〈可愛い、可愛い……照れる、ロレッテは可愛い〉
(オルフレット様、楽しんでらっしゃるわ)
膝の上で、執務の邪魔しないようにしているロレッテと。嬉しそうに書類を処理するオルフレット様。
(恥ずかしくて……死にそう)
「どうして、私がオルフレット様の枕を持っていたのか話せば、膝から下ろしてくださるのですか?」
「うーん、内容によるかな?」
「な、内容? ……話しますから怒らないでください。その枕から、オルフレット様の香りがして……思わず、抱きしめてしまったのです!」
伝えるとクシャッと、手に力が入ったのか書類が握られた音が聞こえて。
「枕から、僕の香り?」
ロレッテの恥ずかしい告白に。
オルフレット様の声がうわずった。
「その、オルフレット様がそばにいるような気がして、嬉しくって抱きしめました……はい、理由を話しましたわ」
その理由を聞いた、オルフレット様の手に持っていた書類がパラパラと床に落ちていく。
――オルフレット様?
〈ロレッテが、僕の香りがして枕を抱きしめたと言った⁉︎ ――まずい、嬉しさと喜びで心臓が爆発する!〉
(え、心臓が爆発⁉︎ まあ、オルフレット様の頬が真っ赤だわ)
〈嬉しくて、どうにかなりそうだ……ロレッテ!!〉
(きゃっ)
オルフレット様に枕ごと、ギュッとロレッテは抱きしめられた。
(それにセルバン殿下って強引で……怖い)
「ロレッテ嬢、出て来ないの?」
(ほんとうは、すぐにでもオルフレット様のそばに行きたいけど……彼は枕の事を絶対に聞いてくると思うわ)
その理由が恥ずかしくて、ロレッテは枕を抱えたまま扉の前をウロウロした。そんなロレッテに、リラはいれたてのお茶をトレーに乗せ手持ち。
「さぁお嬢様、オルフレット殿下が呼んでいらっしゃいます」
と言う。ロレッテが恥ずかしがっていることを、リラにも分かっているのね。リラに「行きましょう」と優しく、見つめられた。
「ええ、行きましょう」
顔に熱が集まるのがわかったけど、扉を開けてリラと、オルフレット様の執務室へと戻った。
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――まさか、こんな事になるなんて!
ロレッテは執務中のオルフレット様の膝の上に、枕を抱えたまま座っている。隣のキッチンから戻ったリラは、ソファのテーブルにサッとお茶の準備を終わらせると、カウサ様の手伝いをすると言って執務室から出ていった。
枕を手に何も出来なかったロレッテに、お茶が温かいうちに飲もうと誘われソファに移り、オルフレット様とお茶を楽しんだ――そのあと、枕の理由などと聞かれたオルフレット様に理由が言えなかったロレッテは、オルフレット様の膝の上に座ることになった。
「あ、あの……オルフレット様もうよろしいのでは? カウサ様とリラが戻ってきますわ」
「ダメ、どうして僕の枕を持っていたのか、ロレッテが話すまで下ろさない!」
「そんなぁ……」
〈可愛い、可愛い……照れる、ロレッテは可愛い〉
(オルフレット様、楽しんでらっしゃるわ)
膝の上で、執務の邪魔しないようにしているロレッテと。嬉しそうに書類を処理するオルフレット様。
(恥ずかしくて……死にそう)
「どうして、私がオルフレット様の枕を持っていたのか話せば、膝から下ろしてくださるのですか?」
「うーん、内容によるかな?」
「な、内容? ……話しますから怒らないでください。その枕から、オルフレット様の香りがして……思わず、抱きしめてしまったのです!」
伝えるとクシャッと、手に力が入ったのか書類が握られた音が聞こえて。
「枕から、僕の香り?」
ロレッテの恥ずかしい告白に。
オルフレット様の声がうわずった。
「その、オルフレット様がそばにいるような気がして、嬉しくって抱きしめました……はい、理由を話しましたわ」
その理由を聞いた、オルフレット様の手に持っていた書類がパラパラと床に落ちていく。
――オルフレット様?
〈ロレッテが、僕の香りがして枕を抱きしめたと言った⁉︎ ――まずい、嬉しさと喜びで心臓が爆発する!〉
(え、心臓が爆発⁉︎ まあ、オルフレット様の頬が真っ赤だわ)
〈嬉しくて、どうにかなりそうだ……ロレッテ!!〉
(きゃっ)
オルフレット様に枕ごと、ギュッとロレッテは抱きしめられた。