嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
38
「相変わらず逃げ足だけは早いな……カウサ、どうだった?」
戻ってきたカウサ様から、オルフレット様は紙袋を受け取った。
「オルフレット様、店はかなりの人気で、列に並ばないと買えませんでした。その場で働く皆様は魔法で変装していたので、国民の皆様に気付かれることはないでしょう」
「そうか、変装をしていたか。……なら安心だな」
ロレッテはオルフレット様とカウサ様、2人がなについて、話しているのかわからなかった、が。
〈まったく別荘にいると思っていたが――国に何かあったと勘付き、こちらに戻ってくるとはな……それも王都に店を開店させるとは、母上の行動力にはいつも驚かされる〉
(王妃様が別荘から戻り、王都に店を開店した? だとすると、王妃様に会いに別荘へと向かった、ミンヤお母様も一緒なのかしら?)
ロレッテが紙袋を気にしていると思ったのか、オルフレット様が微笑み。
「さて、お茶にしようか。ロレッテ嬢はどのサンドイッチを選ぶ?」
オルフレット様が開き見せた紙袋の中には、色鮮やかなサンドイッチが並んでいた。
❀
時は遡り。ロレッテの母親ミンヤは王妃様に会いに馬車を別荘へと飛ばした。夕方に差し掛かる頃、シャンティ王妃様が滞在する別荘に到着して、屋敷を守る警備の騎士に王妃様との面会を願いでた。
すぐ、王妃様の専属エリーに案内された応接間。
そこには、少し気落ちされているご様子の王妃がいた。
「ミンヤ、こんな遠くまでご苦労様。所でわたくしに話とはなんなのですか?」
「王妃様……」
ミンヤは旦那から聞いたこと全て王妃に伝えた。
彼女が王妃様に話した内容はこうだ。
国王陛下は嫌な予感を感じ、大切な王妃を王城から出した。
事の始まりは、王太子がその母娘の娘一人と良い仲になってしまった。王太子は王城にその仲の良くなった男爵家を呼び寄せて、母娘が住み付いてしまっていると。
――そして。
母親は国王陛下を落とそうとし、姉は王太子、妹は第二王子を狙っている模様。娘にぞっこんお花畑状態になってしまった王太子はその娘と毎夜、舞踏会、晩餐会などを開き、あまり評判の役ない貴族達と豪遊している。
お金の出どころは国王陛下は一切国税を使わず。国王陛下自らの私金を向かい今は凌いでいる。国の執務は全て第二王子オルフレット様が一人、城の離れでこなしている。
国王陛下はシャンティ王妃様に会いたいと、悲しんでおられると、ミンヤは旦那に聞いたことを全て王妃に伝えた。
「まぁ、なんで? シル君はいつも一人で背負うのですか! どうしてわたくしに頼ってくれないのです。何があっても嘘をつかず、手を取り合って乗り切りましょうと……結婚式のときに誓い合ったではありませんか!」
陛下と王妃は二人きりのとき、国王シルベウス陛下を昔の呼び名で呼ぶほどの相思相愛。王妃は王都と王城の現状は「わたくし自らの目で確かめます」と。明日になったら一度、王都に戻ることになった。
しかし翌朝、目を覚ましたミンヤが扉に挟まる「我慢ができなくなった王妃は、夜中のうちに一人で馬に乗り、王都に向かったので後を追います」と、メイドのエリーからの置き手紙を見つけた。
「シャンティ王妃様……」
ミンヤもすぐに馬車で二人の後を追った。
王都近くに差し掛かる街で、エリーの仲間にミンヤが乗った馬車を止められた。その仲間に王都の繁華街の空き家に、王妃とエリーの二人はいると伝えられて彼女達と合流した。
王城で仲間に話を聞いたエリーの報告によれば。国民達の生活は陛下とエリーの一族によって、守れているため安心とのこと。
「王妃、後のことは私達一族にお任せを……あなた様は危ないことをせず、ここに滞在をするか別荘にお戻りください」
「嫌よ、それは出来ないわ。弱者なわたくしの母国を助けてくれた、シル君のピンチを今度はわたくしが助ける番なのです!」
王妃様は小さな国ススールドのご出身。その国には加工すれば宝石になる、原石を発掘できる鉱山をいくつも所保有している為、他の国から常に狙われていた。
戦争など起こされれば、瞬く間に敗北は確定。
シャンティの父、陛下はどうにかして強い国との繋がりが欲しく。自分の愛娘――シャンティ王妃様をどこか強国に嫁がそうとしていた。
どこの国とも争うことをせず、交易で太い繋がりを持つ国。そこで目を付けたのが前国王は戦狂として知れ渡り、時期国王と王妃は事故で亡くしているが、強国ウルラート国に目を付けた。
現国王シルベウス陛下に一目でも、シャンティ姫が気に入られて政略結婚、また側室にでも入れば我が国は守られると。
シャンティ姫はお父様に「国の未来のために頼む」と、国王陛下の生誕祭に開かれた舞踏会に参加をした。そこで出会ったウルラート国の国王シルベウス陛下とシャンティ姫は運命の出会いをした。
政略結婚、側室でもはなく愛を育み、二人の結婚は恋愛婚となり、国同士は強い絆で結ばれたのだった。
「わたくしは愛する、シル君を助けますわ!」
王妃の母国――ススールド国、王族の方針。
一人になっても王族の血を守り、なにがあっても生き抜けるよう、代々王族はサバイバル技術を身の付けている。
護衛も務める侍女のエリーが城に忍び込み、主謀者を捕まえるのは容易い。――しかし、シルベウス陛下になんらかの考えがあるはず。いまは自分が事を起こしてならない。
王妃は持っていたドレスと宝石を全て売り、資金を集めて、突貫工事でサンドイッチ屋を開店させたのだった。
「シャンティ王妃、よかったのですか?」
「えぇ、今は着れる服さえ手元にあればいいのです。国が元に戻り余裕ができた時にでも、また作ればいいだけのことよ!」
王妃は困惑するエリー、と驚くミンヤに笑って応えたのだった。
戻ってきたカウサ様から、オルフレット様は紙袋を受け取った。
「オルフレット様、店はかなりの人気で、列に並ばないと買えませんでした。その場で働く皆様は魔法で変装していたので、国民の皆様に気付かれることはないでしょう」
「そうか、変装をしていたか。……なら安心だな」
ロレッテはオルフレット様とカウサ様、2人がなについて、話しているのかわからなかった、が。
〈まったく別荘にいると思っていたが――国に何かあったと勘付き、こちらに戻ってくるとはな……それも王都に店を開店させるとは、母上の行動力にはいつも驚かされる〉
(王妃様が別荘から戻り、王都に店を開店した? だとすると、王妃様に会いに別荘へと向かった、ミンヤお母様も一緒なのかしら?)
ロレッテが紙袋を気にしていると思ったのか、オルフレット様が微笑み。
「さて、お茶にしようか。ロレッテ嬢はどのサンドイッチを選ぶ?」
オルフレット様が開き見せた紙袋の中には、色鮮やかなサンドイッチが並んでいた。
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時は遡り。ロレッテの母親ミンヤは王妃様に会いに馬車を別荘へと飛ばした。夕方に差し掛かる頃、シャンティ王妃様が滞在する別荘に到着して、屋敷を守る警備の騎士に王妃様との面会を願いでた。
すぐ、王妃様の専属エリーに案内された応接間。
そこには、少し気落ちされているご様子の王妃がいた。
「ミンヤ、こんな遠くまでご苦労様。所でわたくしに話とはなんなのですか?」
「王妃様……」
ミンヤは旦那から聞いたこと全て王妃に伝えた。
彼女が王妃様に話した内容はこうだ。
国王陛下は嫌な予感を感じ、大切な王妃を王城から出した。
事の始まりは、王太子がその母娘の娘一人と良い仲になってしまった。王太子は王城にその仲の良くなった男爵家を呼び寄せて、母娘が住み付いてしまっていると。
――そして。
母親は国王陛下を落とそうとし、姉は王太子、妹は第二王子を狙っている模様。娘にぞっこんお花畑状態になってしまった王太子はその娘と毎夜、舞踏会、晩餐会などを開き、あまり評判の役ない貴族達と豪遊している。
お金の出どころは国王陛下は一切国税を使わず。国王陛下自らの私金を向かい今は凌いでいる。国の執務は全て第二王子オルフレット様が一人、城の離れでこなしている。
国王陛下はシャンティ王妃様に会いたいと、悲しんでおられると、ミンヤは旦那に聞いたことを全て王妃に伝えた。
「まぁ、なんで? シル君はいつも一人で背負うのですか! どうしてわたくしに頼ってくれないのです。何があっても嘘をつかず、手を取り合って乗り切りましょうと……結婚式のときに誓い合ったではありませんか!」
陛下と王妃は二人きりのとき、国王シルベウス陛下を昔の呼び名で呼ぶほどの相思相愛。王妃は王都と王城の現状は「わたくし自らの目で確かめます」と。明日になったら一度、王都に戻ることになった。
しかし翌朝、目を覚ましたミンヤが扉に挟まる「我慢ができなくなった王妃は、夜中のうちに一人で馬に乗り、王都に向かったので後を追います」と、メイドのエリーからの置き手紙を見つけた。
「シャンティ王妃様……」
ミンヤもすぐに馬車で二人の後を追った。
王都近くに差し掛かる街で、エリーの仲間にミンヤが乗った馬車を止められた。その仲間に王都の繁華街の空き家に、王妃とエリーの二人はいると伝えられて彼女達と合流した。
王城で仲間に話を聞いたエリーの報告によれば。国民達の生活は陛下とエリーの一族によって、守れているため安心とのこと。
「王妃、後のことは私達一族にお任せを……あなた様は危ないことをせず、ここに滞在をするか別荘にお戻りください」
「嫌よ、それは出来ないわ。弱者なわたくしの母国を助けてくれた、シル君のピンチを今度はわたくしが助ける番なのです!」
王妃様は小さな国ススールドのご出身。その国には加工すれば宝石になる、原石を発掘できる鉱山をいくつも所保有している為、他の国から常に狙われていた。
戦争など起こされれば、瞬く間に敗北は確定。
シャンティの父、陛下はどうにかして強い国との繋がりが欲しく。自分の愛娘――シャンティ王妃様をどこか強国に嫁がそうとしていた。
どこの国とも争うことをせず、交易で太い繋がりを持つ国。そこで目を付けたのが前国王は戦狂として知れ渡り、時期国王と王妃は事故で亡くしているが、強国ウルラート国に目を付けた。
現国王シルベウス陛下に一目でも、シャンティ姫が気に入られて政略結婚、また側室にでも入れば我が国は守られると。
シャンティ姫はお父様に「国の未来のために頼む」と、国王陛下の生誕祭に開かれた舞踏会に参加をした。そこで出会ったウルラート国の国王シルベウス陛下とシャンティ姫は運命の出会いをした。
政略結婚、側室でもはなく愛を育み、二人の結婚は恋愛婚となり、国同士は強い絆で結ばれたのだった。
「わたくしは愛する、シル君を助けますわ!」
王妃の母国――ススールド国、王族の方針。
一人になっても王族の血を守り、なにがあっても生き抜けるよう、代々王族はサバイバル技術を身の付けている。
護衛も務める侍女のエリーが城に忍び込み、主謀者を捕まえるのは容易い。――しかし、シルベウス陛下になんらかの考えがあるはず。いまは自分が事を起こしてならない。
王妃は持っていたドレスと宝石を全て売り、資金を集めて、突貫工事でサンドイッチ屋を開店させたのだった。
「シャンティ王妃、よかったのですか?」
「えぇ、今は着れる服さえ手元にあればいいのです。国が元に戻り余裕ができた時にでも、また作ればいいだけのことよ!」
王妃は困惑するエリー、と驚くミンヤに笑って応えたのだった。