嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
48
――オルフレット様に今日はお会いできないの?
店の外で待ちながら……さみしくて、心配で、涙が出そうで唇を噛んだ。彼と連絡を取りたくても、ブレスレットは後一時間後にしか通じない。
(オルフレット様、事故になどあっておりませんか?)
バサバサと羽音を聞いて、空を見上げた。
「え? フクロウ?」
夕焼けの空に、一羽のフクロウが頭上を飛んでいた。
フクロウは私に何か伝えたいらしく「ホーホー」と鳴き声を上げた。
「おいで!」
フクロウ呼び、手のひらを出すとそこにフワリと止まる。そのフクロウの足には筒の様なものが付いていた。
「ホーホー」
鳴きながら、筒が付いた足を上げる。
「この筒の中身を取ればいいの?」
"そうだ"と頷く賢いフクロウの足に触れて、筒を開けると中に丸まった紙が入っていた――その手紙を取り開く。
(これはオルフレット様の字だわ……ロレッテに会いたい、必ず会いに行くから待っていて欲しいって、書いてあるわ)
「はい、待っておりますオルフレット様」
彼の名前を呼んで、嬉しくて体が震える……彼に会うまでは泣かないようにと、我慢していた涙がポロポロと頬を流れていった。
「フクロウさん、ステキな手紙を運んできてくれてありがとう」
「ホーホー」
フクロウはひと鳴きして、空高く飛び上がった。
ここで待っていますね、オルフレット様。
❀
日が落ちて辺りが暗くなり、外で待つのは危険だとメイドのリラに言われて、店の中で待っていると胸のペンダントが光り、オルフレット様の声が聞こえた。
『ロレッテ、ロレッテ聞こえる?』
『はい、オルフレット様、聞こえております!』
オルフレット様に返事を返したと同時に、店の扉が開く。私は店に入ってきた人物を見て嬉しくて、それと同時に涙を見られたくなって、昔宿やった頃の名残りのカウンターに逃げ込んだ。
「ロレッテ? ロレッテ? どこにいるの」
〈ペンダントから声が聞こえたのに、いない?〉
私を探して歩く足音が側で聞こえて、我慢の限界が来る。
「オ、オルフレットしゃま……ま、待ってください……いま私、ひどい顔なのです」
会える嬉しさと彼が怪我をしていないと分かり、安堵して涙が止まらない。こんなに泣いてしまっては……彼に子供だと笑われてしまう。
〈ロレッテ、どこで泣いているんだ? 泣かないで、ロレッテを今すぐ抱きしめたい〉
「ロレッテ、出てきて……会いたい」
オルフレット様の声と心の声が同時に聞こえて、カウンターの裏から出て彼の胸に飛び付いた。そんな私を、オルフレット様はキツく抱きしめた。
〈ようやく会えた……愛しのロレッテ〉
(オルフレット様……)
〈久しぶり、ロレッテの甘い香りがする。もっと抱きしめ……い、いやっ…………ち、ちょっと待てくれ〉
もっと彼に甘えたくて、寄りかかろうとしたのだけど。いきなり肩を掴まれて引き離された――どうしたの? とオルフレット様を見つめれば、困った顔で頬に赤みがさしていた。
〈……ロレッテに会えて嬉しくて忘れていた。今のボクは一日中動いて汗をかいたから、汗臭くないか?〉
(え? オルフレット様の汗の匂いなんて、気にしませんけど)
とは言えませんが。
焦るオルフレット様をジッと見つめると、彼の焦った声が聞こえた。
「ロ、ロレッテ、ボクは、その……一日中動いたから……汗臭いと思う……それでもいいか?」
〈嫌だったら、嫌と言ってくれ〉
(そんなこと、言いませんわ!)
笑って、私からオルフレット様に抱きついた。
店の外で待ちながら……さみしくて、心配で、涙が出そうで唇を噛んだ。彼と連絡を取りたくても、ブレスレットは後一時間後にしか通じない。
(オルフレット様、事故になどあっておりませんか?)
バサバサと羽音を聞いて、空を見上げた。
「え? フクロウ?」
夕焼けの空に、一羽のフクロウが頭上を飛んでいた。
フクロウは私に何か伝えたいらしく「ホーホー」と鳴き声を上げた。
「おいで!」
フクロウ呼び、手のひらを出すとそこにフワリと止まる。そのフクロウの足には筒の様なものが付いていた。
「ホーホー」
鳴きながら、筒が付いた足を上げる。
「この筒の中身を取ればいいの?」
"そうだ"と頷く賢いフクロウの足に触れて、筒を開けると中に丸まった紙が入っていた――その手紙を取り開く。
(これはオルフレット様の字だわ……ロレッテに会いたい、必ず会いに行くから待っていて欲しいって、書いてあるわ)
「はい、待っておりますオルフレット様」
彼の名前を呼んで、嬉しくて体が震える……彼に会うまでは泣かないようにと、我慢していた涙がポロポロと頬を流れていった。
「フクロウさん、ステキな手紙を運んできてくれてありがとう」
「ホーホー」
フクロウはひと鳴きして、空高く飛び上がった。
ここで待っていますね、オルフレット様。
❀
日が落ちて辺りが暗くなり、外で待つのは危険だとメイドのリラに言われて、店の中で待っていると胸のペンダントが光り、オルフレット様の声が聞こえた。
『ロレッテ、ロレッテ聞こえる?』
『はい、オルフレット様、聞こえております!』
オルフレット様に返事を返したと同時に、店の扉が開く。私は店に入ってきた人物を見て嬉しくて、それと同時に涙を見られたくなって、昔宿やった頃の名残りのカウンターに逃げ込んだ。
「ロレッテ? ロレッテ? どこにいるの」
〈ペンダントから声が聞こえたのに、いない?〉
私を探して歩く足音が側で聞こえて、我慢の限界が来る。
「オ、オルフレットしゃま……ま、待ってください……いま私、ひどい顔なのです」
会える嬉しさと彼が怪我をしていないと分かり、安堵して涙が止まらない。こんなに泣いてしまっては……彼に子供だと笑われてしまう。
〈ロレッテ、どこで泣いているんだ? 泣かないで、ロレッテを今すぐ抱きしめたい〉
「ロレッテ、出てきて……会いたい」
オルフレット様の声と心の声が同時に聞こえて、カウンターの裏から出て彼の胸に飛び付いた。そんな私を、オルフレット様はキツく抱きしめた。
〈ようやく会えた……愛しのロレッテ〉
(オルフレット様……)
〈久しぶり、ロレッテの甘い香りがする。もっと抱きしめ……い、いやっ…………ち、ちょっと待てくれ〉
もっと彼に甘えたくて、寄りかかろうとしたのだけど。いきなり肩を掴まれて引き離された――どうしたの? とオルフレット様を見つめれば、困った顔で頬に赤みがさしていた。
〈……ロレッテに会えて嬉しくて忘れていた。今のボクは一日中動いて汗をかいたから、汗臭くないか?〉
(え? オルフレット様の汗の匂いなんて、気にしませんけど)
とは言えませんが。
焦るオルフレット様をジッと見つめると、彼の焦った声が聞こえた。
「ロ、ロレッテ、ボクは、その……一日中動いたから……汗臭いと思う……それでもいいか?」
〈嫌だったら、嫌と言ってくれ〉
(そんなこと、言いませんわ!)
笑って、私からオルフレット様に抱きついた。