嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
55
「リラ、他に着るものある?」
「ロレッテお嬢様、荷物の奥にもう一枚入っておりました」
リラが見せたのはピンク色で、セパレートタイプのネグリジェだった。私に勇気がなくて、このネグリジェを着れなかった時の為に、もう一枚入れてくれたようだ。
これなら……丈が短いけどまだ平気だわ。お風呂の準備が整い、リラは30分後に来てと頼み、ロレッテはゆったり湯船に浸かった。
30分後。リラが戻り髪を乾かして軽めの二つ結びにしてもらい。セパレートタイプのネグリジェを着込み、リラに後を任せてオルフレット様が待つ部屋へと戻る。
「オルフレット様、お風呂上がりました」
部屋の中はランタンの灯りと、暖炉には火が灯り温かった。オルフレット様はその暖炉近くの床に座り、先程買った書物を読んでいた。
「ゆっくり休めたかな? 湯冷めするといけないから、こちらにおいで」
「はい」
招かれて、オルフレット様の横に座った。
「先ほど古本屋で、買われた本を読まれてたのですね」
「……」
「オルフレット様?」
「……あ、ああ、そうだよ」
〈ロレッテに見惚れていた……お風呂上がりで頬が上昇してピンク色、ふたつ結びの髪、いつもの以上に艶っぽいな。生足がとくにいい。だが、僕は……このロレッテに我慢できるのか?〉
(我慢?)
オルフレット様は読まれていた本を開いたまま〈可愛い、可愛い〉を連呼して、ロレッテを見つめてくる。オルフレット様の言葉は嬉しいのだけど……だんだんと恥ずかしくなり、ロレッテがオルフレットの名を呼ぶと、はっとした表情を浮かべた。
〈……ロレッテが余りにも可愛くて、我を忘れていた。落ち着くために風呂へ行こう〉
「ロレッテ嬢、どうやらお風呂の準備が終わったみたいだ……僕も風呂に入ってくるよ。そこのテーブルに温かい紅茶を用意したから、飲んで待っていて」
暖炉近くのテーブルには紅茶セットと、帰り際に買ったお菓子が食べやすいよに並んでいた。
「ありがとうございます。オルフレット様もごゆっくり入ってきてください」
「ああ、そうさせてもらう」
お風呂に行くオルフレット様を見送り、彼を待つ間、買った本を持ってテーブルについた。香りの良いアールグレイの紅茶、シナモンクッキー、チョコを口に運び本を開いた。
しかし買った本のページをめくっても、ロレッテは物語に集中できずにいる。それはオルフレット様が見ていた、薬草図鑑だ。
――この本で、オルフレット様は何を調べていたのかしら?
今日、遅れた原因と薬草。それを運ぶ商人とオルフレット様の心の声は言っていた。それに薬草と彼が言った時に、ロレッテの胸の奥はざわついた。
ロレッテはどうしても、その図鑑が気になり自分の本を閉じて図鑑を手に取り開いた。――あら? オルフレット様が読んでいたページの角が折られていて、そこに載っていたのは緑の丸い葉が特徴な。
「サンム草?」
その薬草の名前を口に出したとたん、ロレッテの心の奥は、ざわざわと騒つき。
『もう聞いてよ。悪役令嬢ったら酷いんだよ、このサンム草を使ってさぁ』
――誰の声?
こちらに笑って話す、女の子が頭の中をよぎった。
サンム草、ロレッテはその薬草の名前が……何処かで聞いた覚えがあるような気がした。
それはいつ?
どこで聞いた?
さっきの女の子は誰なの?
ずぎっ⁉︎
ズキズキ――
「うぐっ!」
あ、ああ、頭が割れるように痛い。
こんなこと前にもあったような気がする。そうだわ、オルフレット様の執務室でのメアリスさんの会話でだ。彼女が口にした【悪役令嬢】と言う言葉に反応した。
「くっ!」
ズキズキと痛む頭。これ以上、ロレッテに思い出すなという忠告? ガタッと、お風呂場の方から音が聞こえた。
(いまらオルフレット様がお風呂を上がったんだわ)
ロレッテは図鑑を閉じて、紅茶を飲み自分の本を開いた。――え? 頭痛が消えた? 考えるのをやめると嘘みたいに頭痛はひいた。
だけど、何かを思い出しそうになると頭痛が襲う。
ロレッテは重要な何かを忘れているの? そんな気がした。
❀
しばらくして、お風呂上がりのオルフレット様が部屋に現れた。
(なっ、な!)
ガウンから見える彼の胸元、素足……いつもは衣類に隠れて見えないオルフレット様の、体のいち部分が見えていた。
(やだ、私ったらオルフレット様の胸元から目が離せない 。凄い筋肉……彼は着痩せをするの? ガウンの下の筋肉をはしたなく、淑女らしくない想像してしまう)
彼はそれを知ってかしらずか、タオルでがしがし髪を拭き、テーブルにつき自分の紅茶をカップに注いだ。
「ふぅっ、気持ち良かった」
オルフレット様の髪がまだ濡れているわ、はやく拭かないと風邪をひかれてしまう。
「あ、あの……オルフレット様の髪を拭いてもよろしいですか?」
〈ロレッテが僕の髪を拭く? 嬉しいな〉
「あぁ、頼むよ」
「では、暖炉の近くにいきましょう」
彼を誘った。
「ロレッテお嬢様、荷物の奥にもう一枚入っておりました」
リラが見せたのはピンク色で、セパレートタイプのネグリジェだった。私に勇気がなくて、このネグリジェを着れなかった時の為に、もう一枚入れてくれたようだ。
これなら……丈が短いけどまだ平気だわ。お風呂の準備が整い、リラは30分後に来てと頼み、ロレッテはゆったり湯船に浸かった。
30分後。リラが戻り髪を乾かして軽めの二つ結びにしてもらい。セパレートタイプのネグリジェを着込み、リラに後を任せてオルフレット様が待つ部屋へと戻る。
「オルフレット様、お風呂上がりました」
部屋の中はランタンの灯りと、暖炉には火が灯り温かった。オルフレット様はその暖炉近くの床に座り、先程買った書物を読んでいた。
「ゆっくり休めたかな? 湯冷めするといけないから、こちらにおいで」
「はい」
招かれて、オルフレット様の横に座った。
「先ほど古本屋で、買われた本を読まれてたのですね」
「……」
「オルフレット様?」
「……あ、ああ、そうだよ」
〈ロレッテに見惚れていた……お風呂上がりで頬が上昇してピンク色、ふたつ結びの髪、いつもの以上に艶っぽいな。生足がとくにいい。だが、僕は……このロレッテに我慢できるのか?〉
(我慢?)
オルフレット様は読まれていた本を開いたまま〈可愛い、可愛い〉を連呼して、ロレッテを見つめてくる。オルフレット様の言葉は嬉しいのだけど……だんだんと恥ずかしくなり、ロレッテがオルフレットの名を呼ぶと、はっとした表情を浮かべた。
〈……ロレッテが余りにも可愛くて、我を忘れていた。落ち着くために風呂へ行こう〉
「ロレッテ嬢、どうやらお風呂の準備が終わったみたいだ……僕も風呂に入ってくるよ。そこのテーブルに温かい紅茶を用意したから、飲んで待っていて」
暖炉近くのテーブルには紅茶セットと、帰り際に買ったお菓子が食べやすいよに並んでいた。
「ありがとうございます。オルフレット様もごゆっくり入ってきてください」
「ああ、そうさせてもらう」
お風呂に行くオルフレット様を見送り、彼を待つ間、買った本を持ってテーブルについた。香りの良いアールグレイの紅茶、シナモンクッキー、チョコを口に運び本を開いた。
しかし買った本のページをめくっても、ロレッテは物語に集中できずにいる。それはオルフレット様が見ていた、薬草図鑑だ。
――この本で、オルフレット様は何を調べていたのかしら?
今日、遅れた原因と薬草。それを運ぶ商人とオルフレット様の心の声は言っていた。それに薬草と彼が言った時に、ロレッテの胸の奥はざわついた。
ロレッテはどうしても、その図鑑が気になり自分の本を閉じて図鑑を手に取り開いた。――あら? オルフレット様が読んでいたページの角が折られていて、そこに載っていたのは緑の丸い葉が特徴な。
「サンム草?」
その薬草の名前を口に出したとたん、ロレッテの心の奥は、ざわざわと騒つき。
『もう聞いてよ。悪役令嬢ったら酷いんだよ、このサンム草を使ってさぁ』
――誰の声?
こちらに笑って話す、女の子が頭の中をよぎった。
サンム草、ロレッテはその薬草の名前が……何処かで聞いた覚えがあるような気がした。
それはいつ?
どこで聞いた?
さっきの女の子は誰なの?
ずぎっ⁉︎
ズキズキ――
「うぐっ!」
あ、ああ、頭が割れるように痛い。
こんなこと前にもあったような気がする。そうだわ、オルフレット様の執務室でのメアリスさんの会話でだ。彼女が口にした【悪役令嬢】と言う言葉に反応した。
「くっ!」
ズキズキと痛む頭。これ以上、ロレッテに思い出すなという忠告? ガタッと、お風呂場の方から音が聞こえた。
(いまらオルフレット様がお風呂を上がったんだわ)
ロレッテは図鑑を閉じて、紅茶を飲み自分の本を開いた。――え? 頭痛が消えた? 考えるのをやめると嘘みたいに頭痛はひいた。
だけど、何かを思い出しそうになると頭痛が襲う。
ロレッテは重要な何かを忘れているの? そんな気がした。
❀
しばらくして、お風呂上がりのオルフレット様が部屋に現れた。
(なっ、な!)
ガウンから見える彼の胸元、素足……いつもは衣類に隠れて見えないオルフレット様の、体のいち部分が見えていた。
(やだ、私ったらオルフレット様の胸元から目が離せない 。凄い筋肉……彼は着痩せをするの? ガウンの下の筋肉をはしたなく、淑女らしくない想像してしまう)
彼はそれを知ってかしらずか、タオルでがしがし髪を拭き、テーブルにつき自分の紅茶をカップに注いだ。
「ふぅっ、気持ち良かった」
オルフレット様の髪がまだ濡れているわ、はやく拭かないと風邪をひかれてしまう。
「あ、あの……オルフレット様の髪を拭いてもよろしいですか?」
〈ロレッテが僕の髪を拭く? 嬉しいな〉
「あぁ、頼むよ」
「では、暖炉の近くにいきましょう」
彼を誘った。