嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
56
暖炉の前で向かい合って座り、タオルでオルフレット様の髪を乾かす。柔らかな髪と、彼とのこの距離が嬉しくて微笑んでしまう。
「ロレッテ嬢。そこ、くすぐったいよ」
「オルフレット様、動いてばダメです。いま、髪を乾かしているんですから」
「ははっ、わかった、わかったよ」
タオルを丁寧に使い、オルフレット様の髪を乾かす。
〈やけに楽しそうだな、ロレッテ。その表情が見れて嬉しい。時刻が遅くなっても王都に戻ってきてよかった〉
(オルフレット様……)
髪が乾き、2人でダブルベッドを眺めた。今日はこのベッドで、オルフレット様と一緒に眠るんだと思うだけで、鼓動は跳ね上がりドキドキしてしまう。
〈ロレッテの耳が赤い、恥ずかしがってるのかな?〉
(そうですよ。隣に寝るなんて、寝相悪くないといいな)
でも、どちらかが動かないと、このままだわ。
早く眠らないと、お忙しいオルフレット様の体にも負担になる。
「さあ、寝ましょう」
「あぁ、そうだな」
着ていたガウンを脱いで、ベッドに入り向かい合った。
距離が、ち、近い。
彼の心臓の音と、ロレッテの心臓の音が聞こえてしまう距離だけど、幸せの距離。好きな人と一緒なんですもの。
〈いつも可愛いが、今日はさらに可愛い。キスしてもいいかな……いや、してしまうとたかが外れるか〉
(……ううん。オルフレット様、キスして欲しい)
口に出せずジッと彼を見つめた。このやり方はずるいけど……オルフレット様の瞳に訴えかけた。
――私の気持ちに気付いてくれる? と。
〈ロレッテ? ……そうか、ロレッテも求めているんだね、瞳が潤んでる〉
優しく名前を呼ばれて、オルフレット様の唇とロレッテの唇が重なった。ちゅ、ちゅと触れ合うだけの優しいキス。彼が抱き寄せて距離が近くなる。……もう、どちらの鼓動かわからなくなるほど、体はくっ付き溶け合う。
「んっ……」
「僕だけのロレッテ嬢」
キスが終わってもそのまま彼の腕の中。鼓動だけはドキドキうるさいけど、オルフレット様の体温は気持ちよく眠りを誘う。好きな人の腕の中で眠れる、ロレッテはなんて幸せ者なのだろう。
(オルフレット様も、そうだといいな)
欲張りなロレッテは彼も同じ気持ちで、と願った。
〈ロレッテの心地よい体温、満たされる心……いまは、それだけでいい……いずれは、、ロレ……〉
彼の心の声が途中で聞こえなくなり、規則正しい寝息が聞こえてきた。
(おやすみなさい、オル)
疲れて眠ってしまった、オルフレット様の寝顔を見ながら、ロレッテも彼に寄り添い眠りについた。
❀
翌朝、目が覚めるとベッドの中でオルフレット様と瞳がかち合い、やさしく見つめられる。
「おはよう、ロレッテ嬢」
「おはようございます、オルフレット様」
起きようか。と頬にキスをされてベッドを抜け出した。
部屋で朝食を摂り、宿屋からの帰りは馬車でサンドイッチ屋まで送ってもらった。
「あと、1週間で王都に戻るよ」
オルフレット様はそう言い残して、視察に戻っていかれた。あと、1週間まてば彼とまた過ごせるんだ。
「待っていますね、オルフレット様」
オルフレットも同じだった。
視察に戻る馬車の中でロレッテを想い、幸せそうに微笑んでいた。反対側に座るカウサも幸せそうな、自分の主人を見守っている。
「はぁ、昨夜のロレッテ嬢は格別に可愛かった、早く結婚したい」
「オルフレット様、もう少しの辛抱ではないでしょうか?」
もう少しか……ロレッテとの結婚を実現させるには、色々と解決することがある。
一つずつ終わらせてロレッテを僕の妃にして、彼女をもっともっと堪能したい。馬車の中から流れる景色を眺める、オルフレットの頭の中は"淫らな妄想"が繰り広げらていた。
❀
「おやすみなさい、オルフレット様」
「おやすみ、ロレッテ嬢」
毎日、視察で遠くにいる彼と話をして、募る思いを抱きしめて、1週間が経つの待っていた。昨夜のオルフレット様の話で、アルータ橋の修復はほぼ終了したとおっしゃっていた。
「今日、視察を終えてオルフレット様が王都へ戻ってこられる」
夕方頃に王都へ着くとフクロウから連絡が来た。帰りにサンドイッチ屋に寄ると連絡を受けて、ロレッテは朝からソワソワ、仕事中も集中できずにいた。
王妃様は笑って許してくださったけど。ミンヤお母様から「嬉しい気持ちはわかりますが、落ち着きなさい」と何度も注意されてしまった。
「ロレッテ嬢。そこ、くすぐったいよ」
「オルフレット様、動いてばダメです。いま、髪を乾かしているんですから」
「ははっ、わかった、わかったよ」
タオルを丁寧に使い、オルフレット様の髪を乾かす。
〈やけに楽しそうだな、ロレッテ。その表情が見れて嬉しい。時刻が遅くなっても王都に戻ってきてよかった〉
(オルフレット様……)
髪が乾き、2人でダブルベッドを眺めた。今日はこのベッドで、オルフレット様と一緒に眠るんだと思うだけで、鼓動は跳ね上がりドキドキしてしまう。
〈ロレッテの耳が赤い、恥ずかしがってるのかな?〉
(そうですよ。隣に寝るなんて、寝相悪くないといいな)
でも、どちらかが動かないと、このままだわ。
早く眠らないと、お忙しいオルフレット様の体にも負担になる。
「さあ、寝ましょう」
「あぁ、そうだな」
着ていたガウンを脱いで、ベッドに入り向かい合った。
距離が、ち、近い。
彼の心臓の音と、ロレッテの心臓の音が聞こえてしまう距離だけど、幸せの距離。好きな人と一緒なんですもの。
〈いつも可愛いが、今日はさらに可愛い。キスしてもいいかな……いや、してしまうとたかが外れるか〉
(……ううん。オルフレット様、キスして欲しい)
口に出せずジッと彼を見つめた。このやり方はずるいけど……オルフレット様の瞳に訴えかけた。
――私の気持ちに気付いてくれる? と。
〈ロレッテ? ……そうか、ロレッテも求めているんだね、瞳が潤んでる〉
優しく名前を呼ばれて、オルフレット様の唇とロレッテの唇が重なった。ちゅ、ちゅと触れ合うだけの優しいキス。彼が抱き寄せて距離が近くなる。……もう、どちらの鼓動かわからなくなるほど、体はくっ付き溶け合う。
「んっ……」
「僕だけのロレッテ嬢」
キスが終わってもそのまま彼の腕の中。鼓動だけはドキドキうるさいけど、オルフレット様の体温は気持ちよく眠りを誘う。好きな人の腕の中で眠れる、ロレッテはなんて幸せ者なのだろう。
(オルフレット様も、そうだといいな)
欲張りなロレッテは彼も同じ気持ちで、と願った。
〈ロレッテの心地よい体温、満たされる心……いまは、それだけでいい……いずれは、、ロレ……〉
彼の心の声が途中で聞こえなくなり、規則正しい寝息が聞こえてきた。
(おやすみなさい、オル)
疲れて眠ってしまった、オルフレット様の寝顔を見ながら、ロレッテも彼に寄り添い眠りについた。
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翌朝、目が覚めるとベッドの中でオルフレット様と瞳がかち合い、やさしく見つめられる。
「おはよう、ロレッテ嬢」
「おはようございます、オルフレット様」
起きようか。と頬にキスをされてベッドを抜け出した。
部屋で朝食を摂り、宿屋からの帰りは馬車でサンドイッチ屋まで送ってもらった。
「あと、1週間で王都に戻るよ」
オルフレット様はそう言い残して、視察に戻っていかれた。あと、1週間まてば彼とまた過ごせるんだ。
「待っていますね、オルフレット様」
オルフレットも同じだった。
視察に戻る馬車の中でロレッテを想い、幸せそうに微笑んでいた。反対側に座るカウサも幸せそうな、自分の主人を見守っている。
「はぁ、昨夜のロレッテ嬢は格別に可愛かった、早く結婚したい」
「オルフレット様、もう少しの辛抱ではないでしょうか?」
もう少しか……ロレッテとの結婚を実現させるには、色々と解決することがある。
一つずつ終わらせてロレッテを僕の妃にして、彼女をもっともっと堪能したい。馬車の中から流れる景色を眺める、オルフレットの頭の中は"淫らな妄想"が繰り広げらていた。
❀
「おやすみなさい、オルフレット様」
「おやすみ、ロレッテ嬢」
毎日、視察で遠くにいる彼と話をして、募る思いを抱きしめて、1週間が経つの待っていた。昨夜のオルフレット様の話で、アルータ橋の修復はほぼ終了したとおっしゃっていた。
「今日、視察を終えてオルフレット様が王都へ戻ってこられる」
夕方頃に王都へ着くとフクロウから連絡が来た。帰りにサンドイッチ屋に寄ると連絡を受けて、ロレッテは朝からソワソワ、仕事中も集中できずにいた。
王妃様は笑って許してくださったけど。ミンヤお母様から「嬉しい気持ちはわかりますが、落ち着きなさい」と何度も注意されてしまった。