嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。

神と女神の話

転生先の世界に戻ったサイトウアヤ様。

「……サイトウ様は怒るどころか、私を一つも責めなかった」
 
「そうだね、ほんとうならもっと責められていても仕方のないことだよ」

 私は、神様にコクリと頷く。

「私はとんでもないミスをしました……サイトウアヤ様の大切な人生を変えてしまった。……そしてもう1人のアヤ様の人生も変わってしまった」

「今回はどちら共に上手く事が進みましたが。このような件は、2度とないと思ってください」

「はい」

 私のミスで2人の人生を変えてしまった。でも「謝らないでください」と笑っていた。サイトウ様はオルフレット様が好きだからと……

 サイトウ様は転生先の世界で、本来の役割の悪役令嬢ではなく。普通にオルフレットと出会い、普通に恋をした。

 乙女ゲームを知らないサイトウ様は、悪役令嬢でも幸せになれる? 今回は稀なケース、本来ならオルフレットの気持ちはヒロインに傾くのだけど……2人は想いあっている。

「神様、私はサイトウ様とオルフレットが幸せになってほしい」

「ノア、これ以上は踏み込んではなりません。あなたには次の仕事が待っていますよ」

「はい、神様。始末書の後に次の仕事に取り掛かります」

 神様に頭を下げて、私は魂との対面室から出ていった。
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