嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。

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 準備は出来たけど、パンケーキは前世でしか作った事がない。今世は一度も料理したことがない――少し心配だけど大丈夫、なんとかなるわ。

 収納箱やに入れて、持ってきた小麦粉をボールに入れて水と卵を入れて混ぜる。混ぜ終えたら、カマドの火にフライパンをかけて、バターを溶かして焼く。パンケーキがプクプクしてきたらヘラでひっくり返す。

(この通りにやればパンケーキが焼けるはず)

 生地を混ぜて、フライパンで焼き始めたる。片面がプクプクしてきて、持ってきたフライ返しでひっくり返す。少し焦げ目のついた、平らなパンケーキがひっくりかえる。

「シルベスター君、見てパンケーキが上手く引っくり返ったわ!」

「うわぁバターのいい匂い、ロレッテちゃん、このパンケーキはどうやって食べるの?」
 
「この苺のジャムを塗って食べようと思っているわ」
 
 シルベスター君の前に"苺のジャム"をドンと取り出した。少し焦げこげてしまったパンケーキ数枚がお皿に乗った、次にお鍋で水を沸かし紅茶を入れる。お砂糖も持ってきたけど、苺のジャムをスプーンに取り紅茶に入れてかき混ぜる。

(紅茶に苺のジャムを入れると砂糖いらずで、イチゴ風味の紅茶になるのよね)

「ううん、苺のジャムの甘みの紅茶が美味しい」
「ほんと苺の風味の紅茶、美味しいね」

 



 

 パンケーキを食べ終えて、シルベスター君と一緒に近くの小川で使ったボール、フライパンなどを洗い【収納箱】にしまった。

「手伝ってくれてありがとう」
 
「どういたしまして……そうだ、寝る前に物語を一つロレッテちゃんに聞かせてあげる」

「話し?」

「うん。題名は『癇癪王子と癒しの姫』聞きたい?」

「『癇癪王子と癒しの姫』? 面白そうな物語、聞きたいわ」

 お願いすると、シルベスター君は「任せて」コホンと咳をした。

「昔々あるところに癇癪王子と呼ばれる王子がいました。その王子は人よりも魔力が高く、一度癇癪を起こすと辺りを魔法で凍らせてしまうのです」

「まあ、大変」
「大変だよねぇ~」

(魔力が高くて、辺りを凍らすなんてオルフレット様みたいだわ)

 私は所々面白く語る、シルベスター君の話を夢中で聞いた。
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