嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
アルカ
そろそろボクも寝よっと、と。
シルベスターは眠ってしまった、ロレッテちゃんを守りながら目を瞑った。
その頃、王城――執務室の隣、仮眠室に寝かされたオルフレットから、徐々に魔力が漏れ出して部屋を凍らし始めた。
ふうっ。たかが魅了魔法だと? と考えて、国王陛下の依頼を断ったツケが回ってきたか。カチンコチンに凍った仮眠室を見て、呼ばれたオルカはため息が漏れた。
「あ、貴方様が、王族の専門医の方ですか?」
「ん?」
ウチは専門医ではなく魔女なんだが……めんどうだし、いまは言わない方がいいだろう。作った笑みを浮かべ"そうだ"とこたえることにした。
「はい、専門医のアルカと言います。後は私が見ますので、貴方は他の者を頼みます」
貴族の男は、ホッとした様子で頭を下げた。
「かしこまりました。アルカ先生、オルフレット殿下をよろしく頼みます」
もう一度、深々く頭を下げると男は、仮眠室から出ていった。――フン、落ち着いた対応だな。あの貴族の男は、この状態を見ても変に思わないのか?
それとも、思っていても表に出さないところは――さすが貴族の男だな。
さてと。
いま、ここの場にいない陛下と王妃にフクロウで返信した。その数分後、戻ってきた手紙に遠い国にいる為、そちらに戻るまで時間はかかると書いてあった。
どうする? 陛下と王妃を転送魔法でここへ呼び戻す? いや無理だな、足りない分の魔力を借りる弟子のシルベスターが近くにいない。奴は魔法で夜の間はベルク山――ローブル山から出れない。
(おお、しっかりオルフレットの婚約者を守っているな)
衰えた、私の瞳では見分けることが出来なくなった『女神の涙』を、見つけてくると期待しているぞオルフレットの婚約者。
魔女だって、歳をとれば魔力が年々衰えて来る。
いまに私の魔力では、若いオルフレットの魔力は抑えれなくなった。
(オルフレットの婚約者のスキル……世にも珍しい『女神の加護』と。婚約者の大きな愛にも期待しているぞ)
しかし、今回の事がキッカケで自分に膨大な魔力があると知るなんて面白い。本来なら……感情の変化、ショックで、特別な魔力が溢れ出してもおかしくないのに。
それとは逆に、オルフレットはヤバかった。
婚約者に嫌われたと落ち込み、城中を凍らしては。
私とシルベスターが呼ばれるの繰り返し。
命に関わることだから、昔に言ったことをもう一度。
『その様な心構えでは、自身の魔法で好きな子を傷つけてしまうぞ!』
そう伝えたが、オルフレットはメソメソ泣き始め。
『今回は自分の魔法じゃなく……己のバカな行動で傷付けた……自業自得だと言いたいのだろう? そうさ、僕が全て悪い。……ロレッテごめん。僕は君だけを愛してる、許して欲しい。ウウッ……ロレッテ』
(おいおい……そんな、部屋の隅っこで壁に向かって言っても、婚約者には聞こえないぞ)
だが、恋に関して私は専門外。シルベスターも私と同じだと思っていたが……奴は、婚約者を連れ去ろうとした事には驚いた。
『ごめん……ロレッテ、ごめん』
泣いて、喚いて城中を凍らせ食事を摂らない。そんな、オルフレットに食事を摂らせて魔法で眠らせた。
――ほんと、あのときは大変だった。
仮眠室を凍らし始めたオルフレットの周りに、魔法で結界を張り、部屋の氷を溶かした。
「これでよし。……オルフレット待っていろ。私では見つけれなくなった解毒薬を、女神の加護を持つ婚約者が見つけてくれる。それまでがんばるのだぞ」
シルベスターは眠ってしまった、ロレッテちゃんを守りながら目を瞑った。
その頃、王城――執務室の隣、仮眠室に寝かされたオルフレットから、徐々に魔力が漏れ出して部屋を凍らし始めた。
ふうっ。たかが魅了魔法だと? と考えて、国王陛下の依頼を断ったツケが回ってきたか。カチンコチンに凍った仮眠室を見て、呼ばれたオルカはため息が漏れた。
「あ、貴方様が、王族の専門医の方ですか?」
「ん?」
ウチは専門医ではなく魔女なんだが……めんどうだし、いまは言わない方がいいだろう。作った笑みを浮かべ"そうだ"とこたえることにした。
「はい、専門医のアルカと言います。後は私が見ますので、貴方は他の者を頼みます」
貴族の男は、ホッとした様子で頭を下げた。
「かしこまりました。アルカ先生、オルフレット殿下をよろしく頼みます」
もう一度、深々く頭を下げると男は、仮眠室から出ていった。――フン、落ち着いた対応だな。あの貴族の男は、この状態を見ても変に思わないのか?
それとも、思っていても表に出さないところは――さすが貴族の男だな。
さてと。
いま、ここの場にいない陛下と王妃にフクロウで返信した。その数分後、戻ってきた手紙に遠い国にいる為、そちらに戻るまで時間はかかると書いてあった。
どうする? 陛下と王妃を転送魔法でここへ呼び戻す? いや無理だな、足りない分の魔力を借りる弟子のシルベスターが近くにいない。奴は魔法で夜の間はベルク山――ローブル山から出れない。
(おお、しっかりオルフレットの婚約者を守っているな)
衰えた、私の瞳では見分けることが出来なくなった『女神の涙』を、見つけてくると期待しているぞオルフレットの婚約者。
魔女だって、歳をとれば魔力が年々衰えて来る。
いまに私の魔力では、若いオルフレットの魔力は抑えれなくなった。
(オルフレットの婚約者のスキル……世にも珍しい『女神の加護』と。婚約者の大きな愛にも期待しているぞ)
しかし、今回の事がキッカケで自分に膨大な魔力があると知るなんて面白い。本来なら……感情の変化、ショックで、特別な魔力が溢れ出してもおかしくないのに。
それとは逆に、オルフレットはヤバかった。
婚約者に嫌われたと落ち込み、城中を凍らしては。
私とシルベスターが呼ばれるの繰り返し。
命に関わることだから、昔に言ったことをもう一度。
『その様な心構えでは、自身の魔法で好きな子を傷つけてしまうぞ!』
そう伝えたが、オルフレットはメソメソ泣き始め。
『今回は自分の魔法じゃなく……己のバカな行動で傷付けた……自業自得だと言いたいのだろう? そうさ、僕が全て悪い。……ロレッテごめん。僕は君だけを愛してる、許して欲しい。ウウッ……ロレッテ』
(おいおい……そんな、部屋の隅っこで壁に向かって言っても、婚約者には聞こえないぞ)
だが、恋に関して私は専門外。シルベスターも私と同じだと思っていたが……奴は、婚約者を連れ去ろうとした事には驚いた。
『ごめん……ロレッテ、ごめん』
泣いて、喚いて城中を凍らせ食事を摂らない。そんな、オルフレットに食事を摂らせて魔法で眠らせた。
――ほんと、あのときは大変だった。
仮眠室を凍らし始めたオルフレットの周りに、魔法で結界を張り、部屋の氷を溶かした。
「これでよし。……オルフレット待っていろ。私では見つけれなくなった解毒薬を、女神の加護を持つ婚約者が見つけてくれる。それまでがんばるのだぞ」