あなたに出会って世界が変わる
陸斗は建築士として就職し、日々図面を書いている。残業は多くなく、比較的定時で帰れている。

夏鈴を見ていると心配になる。
夏鈴の配属された部署は少年漫画の編集部だ。
なかなか作家さんが期日を守らないので、すべてが遅れていくことが多いと話していた。

｢山下さん。編集終わりそう？｣

｢はい。なんとか、頑張ります。｣

締め1時間前にようやく完了した。

｢お疲れ様ー。｣
編集部で飲み会だ。
夏鈴はお酒は好きだが、飲み会は先輩ばかりで緊張する。少年漫画の編集部ということもあり、男性が9割だ。男性に対する恐怖心はかなり減ったが、陸斗以外の人からの過剰な接触は得意ではない。

｢山下さんが来てくれて、華やかになったよな。この部署の花だ。｣
男性の先輩はそう言って夏鈴の肩を抱く。

｢山下さん、かわいいし、真面目だし、最高だわ。｣
そう言って隣の先輩が頭を撫でる。

｢山下さんにお酒をついでもらいたい。｣

そう言って、別の男性が近づいてきて、太ももに触れた。夏鈴は震えそうになったが、深呼吸をして整えた。

｢山下さんって彼氏いるんだよね？純情でかわいいから彼氏惚れてるんだろなー。｣

みんなはそう言って騒いだ。もちろん襲ってくるようなことはしない。飲み会のノリだってわかってる。だけど、夏鈴にとって過剰な接触はかなりのストレスになっていた。
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