あなたに出会って世界が変わる
「大橋先生お待たせしてすみません。やはり上の者はだせないので、私と打ち合わせしていただくか、掲載しないかのどちらかになります。」
夏鈴は伝える。

「ふざけるな。」
大橋はそう言って手元にあったお茶をかけてきた。

「俺がどれだけ考えて悩んでこの作品を作ったと思ってるんだ。おまえみたいな新人に何がわかる。」
大橋の怒鳴り声が響き渡る。

夏鈴はお茶でビシャビシャになった。あまりの大きな声に怖くなる。

その時、きれいな女の人が部屋に入ってきた。

「はじめまして。私は女性ファッション誌で課長をしています西です。今は扱っておりませんが、以前少年誌を担当していたこともあります。お話うかがいましょうか。」

「今回の作品の編集者をこの新人から、ベテランに変えて欲しいって頼んでんのに、全然こいつ、上司呼ばねえんだわ。」
大橋はイライラと言う。

「そうでしたか。山下の編集のどのあたりに不都合がありましたでしょうか。」

「こいつにはセンスがないわ。そもそもな。」

「では私が少し見せていただいてもよろしいですか?」

そう言って、西は作品を見る。山下の編集具合もチェックした。

「大橋先生、わたしが編集しても山下と似たようなものになると思います。しいていえば、もう少しこの部分を大きく見せたりしますかね?」

「なるほど。さすが西さんのアドバイスはいいね。君が僕の編集につくのはどうか?」

「私は今少年誌の担当ではないので、できません。先ほどもお伝えしましたが、私がやっても山下と似たような編集になります。もし山下についてもらうのが嫌でしたら、今回のお話はなしにさせていただきます。」

「えっそんな、、、。それは困ります。せっかくのチャンスなので。」

「山下とやるにしても、山下に必要以上に怒鳴ったり、お茶をかけたりされるようでしたら、すぐ掲載をお断りさせていただきます。
山下、何かあればすぐ伝えに来なさいよ。」

「はい。分かりました。」

「分かりましたよ。じゃあ山下さんお願いします。」
大橋は不満そうに言う。

「こちらこそお願いします。」
夏鈴は慌てて言った。

「今日は山下の服が濡れてますし、打ち合わせはなしにしていただきます。また日にちはこちらが指定してお伝えさせてもらいます。今日はお帰りください。」
西は強めに言って、大橋を帰らせた。
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