無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない
「おい、待てよ。」


待ってたら時間に遅れちゃう。麗央の制止も聞かずとにかく歩いていく。
確か真逆だからこのまままっすぐに行けばつくはず。

今度こそ中庭を抜けると

大きな建物がある方向に向かって体を向ける。

校舎がここにあるってことは体育館はその逆のエリアにあったのか。

次からは気を付けよう!

そう思って足を運びかけた時、何者かにそれを阻まれた。

「ーえ」

「おねーさん。ここで何してたの?」

はっと顔を上げるとそこにはさっきと似たようなイケメンが立っていた。
今度は少し切れ長で冷ややかそうな眼をしている。

それにこちらをゴミとみるような目をして明らかに敵意がある。

ちょっと怖いかも。

そしてさらさらな髪をなびかせてきれいな桃色の唇で言葉をつむぐ。

「ねぇ、言わないとスパイとみなすよ?」

スパイ⁉

まさかの質問に度肝を抜かされる。

わたしそんなに器用そうに見えるのかな。


「間違えて、はいちゃって…」


とにかく真実を言わないと…。


「そうだ。こいつ俺が寝ている間に入りやがった。敵意あったらもう排除してる。」

は、排除ですか。こわっ。

突然後ろから肩に手が載るとさっき聞いた声が後ろからした。


「麗央サンが言うなら、ね」

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