無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

静かな中庭 星夜side

「おい、麗央。どこ行ってたんだよ。」

美鈴が体育館にたどり着いている頃。

ちょうど中庭に帰ってきた麗央は昼寝をしようとしていた。

さっきの異常行動はなんだったんだと思わせるばかりのいつもの風景。

「…体育館。」

「え、ほんとに体育館まで届けたのか？」

「…そうだけど？」

「正気？」

麗央の異常行動に日頃から彼を見ている星夜は驚いたような顔をする。

「…」

「麗央さ。ここにどうやって入ってきたのか本当に知らないの？」

ここー中庭は一般生徒が簡単に入れるような場所ではない。

なぜなら

「結界どうやって破ったんだよ…」

彼らが秘密裏に結界を張っていたからだ。

それも周りから決して見えないように、そして入れないように。

彼らにとってここは学園内でものんびりできるスペースであるのだ。