世界の果てで、君との堕落恋愛。
「……っ、!」


開けたと同時、途端に視界を眩く遮る夕陽の光に、思わず目を細めた。

泣いていたお母さんも、そのあまりの眩しさに驚いたのか、わたしと同じように目をスッと細めた。

真っ赤に燃える夕陽が世界を一面に照らしている。

その光に侵食されてしまったように、屋上から見下ろした世界は真っ赤だった。

そんな大き過ぎるものに身を引かれて、わたしとお母さんはフェンスの方へ同時に歩き出した。

そして、網にそっと手をかける。


「すごい……」


隣でお母さんが感嘆したようにそう呟く。

ガラスの窓が沢山張り付いた高層ビルも、その陽光を反射してキラキラと透明に光っている。

強風が吹く。どこからか飛ばされてきたひまわりの花びらがそっと頰を掠める。

時間は永遠に止まらないということをわたしに教えるかのように、物凄いスピードで陽が落ちて行く。

そして最後、この世界を限界にまで照らし、真っ赤な光を発光させた後、太陽は西の空に完全に姿を消した。


「……なんていうか、凄くきれいだったね。お母さん、あんな景色見たことないよ」


再び感嘆とした声でそう呟いたお母さんは、もう泣いてなんかいなかった。


「そうだね。……わたしも、あんなにきれいな景色、初めて見た気がする」


いつも自分のローファーばかり見て、俯きながら家路を歩いていた。
< 13 / 81 >

この作品をシェア

pagetop