世界の果てで、君との堕落恋愛。
顔を上げれば、こんなにも眩い空が目に映せるということも知らずに。


……わたしは今まで、どうして下ばかり向いていたのだろう。嫌な気分なんて、不安な気持ちなんて、そんなことをしていても一向に消えはしないのに。


少し顔を上げて空を仰げば、自分を照らしている夕陽に、今みたいに少し元気をもらえたかもしれないのに。

後悔して、そして学んで、また失敗して。

不器用なわたしは、いつだって今を精いっぱい生きるしかない。下なんて向いている暇はない。


そんなことばかりしていたら、自分の大切な人が、大好きな人が、……涼太くんが、いつの日か突然ぱっと消えてしまうかもしれない。


だから、前を向いて、その姿を目に焼き付けて、未来の自分が後悔しない行動をしなくちゃ。

……それを早く気づけて良かった。


「太陽ってね、沈む瞬間が1番眩く光り輝くんだって」


わたしが大好きだった映画の登場人物が、いつか言っていたこと。それを聞いた時から、ずっと沈み行く夕陽を見たいって思ってた。


「へえ……。そうなんだ」


お母さんは納得するように頷いた。

茜色の空に、だんだんと濃い青が染みていく。

夜が来ることを知らせる群青色が、今は目に優しい。


「うん。……本当だったんだ」
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