世界の果てで、君との堕落恋愛。
「? どうしたの涼香」


憂いげなわたしを不思議そうに見つめるお母さん。

わたしはそんなお母さんに向き直った。


「わたし、もっと仕事頑張るよ。今よりもっと稼いで、人気になって、有名になって見せる」

「……っなに、言ってるの?」


お母さんにはまだ話していなかった。

……いや、話せていなかった。


「だから、涼太の治療費をわたしが稼ぐの。日本よりももっと高技術な先端医療を扱ってるアメリカに行って、そこで治療したら涼太だって……」

「っ、ちょっと待って涼香。1度落ち着きなさい! あなた、自分が何て不可能なことを言っているのか分かっているの?」


わたしの肩に手をやって、激しく前後ろに揺り動かす。

いつもは泣き虫なお母さんは、今だけは“しっかりとした母親”に見えた。


「……ってるんだよ」

「何!?」

「それがどんなに不可能なことかちゃんと分かってるんだよ……っ。でもわたし、今読モしてるから頑張ればいくらだって……っ、いくらでも稼げるもん!!」


両肩に置かれていたお母さんの手を振り放す。

自分らしくない大きな声が口から漏れた。

お母さんの瞳孔が最大限にまで見開いていく。
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