世界の果てで、君との堕落恋愛。

「は、はぁ……そうですか」


わたしを見据えるその瞳は、とても明るい色をしているのに、なぜだかとても暗い色を宿していた。

数秒間見つめられただけでも、背筋が凍りつきそう。

──それだけ、彼のお顔は麗しかった。

わたしを見つめるアクアマリン色の双眸(そうぼう)が怖いくらいに美しくて。

それに少しでも魅入ってしまったのが間違いだった。


「刀利サン、おれの顔、そんなに興味あるの?」

「……っ、」


ぐっと縮められた2人の距離。

ニヤリと笑いかけられれば、わたしはもう逃げられない。


「…っそんなことは、ないです」


こう言えば、彼は絶対に不機嫌な顔をする。

そんなのは初めから分かっていた。


「……へー、刀利サンのくせに、生意気」


───菅生玲衣(れい)

彼は、今最も注目されている売れっ子若手俳優。


学校の女子はもちろん、他校の女子生徒を超え全国の女の子からわーきゃー言われるような、わたしとは生きている世界が違う存在。


───正確に言えば、彼が在学中に沢山の女の子からわーきゃー“言われていた”。

そんなこんなで、彼はとてもプライドが高い。


「……、ごめんなさい」

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